
日本では、古くから地場産業として織物、染め物、工芸品を発展させてきた。これらは様々な形で民衆の間で伝承され、時代ごとの流行や生活様式に生かされてきた。また、技術的にも様々な織り方、生地染料の開発により多様な織物が生まれている。ここでは、これら地方の織物文化のありようを示す博物館、資料館を紹介する。特に、地場産品として現在でも人気のある「紬」、「絣」、「銘仙」、「縮緬」、「藍染め」などの工芸品の姿を紹介する資料館を取り上げる。
♣ 結城紬ミュージアム “つむぎの館”(茨城県)
所在地:茨城県結城市大字結城12-2 Tel.0296-33-5633
HP: https://www.yukitumugi.co.jp/


→ 施設内には結城紬の資料館、長年繊維問屋であった「奥順(株)」が、創業100周年を記念して設立である。反物の展示館、結城紬製品のショップや染織体験工房がある。結城紬とは、茨城県結城市を中心として、主に茨城県、栃木県の鬼怒川流域で作られている絹織物。精緻な亀甲模様や複雑な絣柄で構成された柄が美しい。真綿から手で紡ぎ出した「紬糸 (つむぎいと) 」と呼ばれる糸を使って織られる。


参考:結城紬とは(中川政七商店の読みもの)(https://story.nakagawa-masashichi.jp/craft_post/119997)
https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/silkwave/silkmuseum/IYuki/yuki-etc.htm
・紬とは:紬 – Wikipedia
♣ 大島紬美術館(鹿児島)
所在地:鹿児島県奄美市笠利町平1260番地 Tel.0977-63-0067
HP: https://www.oshima-tsumugi.com/


→ 館内には、奄美文化の代名詞となった本場大島紬を展示した紬パビリオンがあり、紡ぎの製作に用いられる締機、加工、手織りなど大島紬の製造工程も実際にみることができる。参考:https://www.museum.or.jp/museum/7668
https://www.oshima-tsumugi.com/
・紬とは:紬 – Wikipedia


♣ 塩沢つむぎ記念館
所在地:新潟県南魚沼市塩沢1227番地14 Tel. 025-782-4888
HP: https://www.tsumugi-kan.jp/


→ 塩沢つむぎ記念館は塩沢の織物の伝統技術と文化の魅力を一堂に公開した博物誌資料館。塩沢の織物の布を使用して製作された生地工芸品を展示・販売しており、織物ができるまでの工程を見ることもできる。
♣ 秩父銘仙館
所在地:埼玉県秩父市熊木町28-1 Tel: 0494-21-2112
HP: https://www.meisenkan.com/


→ ちちぶ銘仙館は秩父織物、銘仙等に関する民俗学上貴重な資料を収集、保管及び展示している。伝統的技術を継承することを目的として設置された施設となっている。本館やノコギリ屋根の工場棟などは、昭和5年建造の旧埼玉県秩父工業試験場を利用しており、平成13年には昭和初期の特徴的な建物として国の登録有形文化財に登録されている。



・銘仙とは?―産地ごとの特徴や歴史―(京都きもの市場)https://www.kimonoichiba.com/media/column/440/
・秩父銘仙とは:https://www.meisenkan.com/chichibumeisen/
・染め織りの郷ちちぶ銘仙館https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/silkwave/silkmuseum/SCMeisen/meisenkan.htm
♣ 民芸伊予かすり会館 (愛媛県)
所在地:愛媛県松山市大街道3丁目8−1
HP: https://e-hime.jp/kasuri/


→ 伊予絣は、愛媛県松山市で製造されている木綿の紺絣、松山絣とも呼ばれる。久留米絣、備後絣とともに日本三大絣の一つである。約200年余年前温泉郡今出の「鍵谷カナ」が独力で苦心のすえ、“今出かすり”を製織せられたのが始まりといわれる。松島市内にある伊予かすり会館では機織の展示、実演を行っている。
・参照:伊予絣とは? 伊予絣 – Wikipedia
・参照:絣とは(絣 – Wikipedia)


♣ 久留米絣資料館 (久留米地域地場産業振興センター)

所在地:福岡県久留米市東合川5-8-5 Tel. 0942-44-3700
HP: https://kurumekasuri.jp/inheritance/

→ 留米絣の歴史や製造工程をはじめ、戦前に織られた貴重な作品などを展示。久留米絣手織りの実演も見学可能、久留米絣だけでなく、久留米地方の工芸品の製造工程も首魁している。
・参考:久留米絣資料館 – 地場産くるめ (jibasankurume.jp)


♣ 丹後ちりめん歴史館
所在地:京都府与謝郡与謝野町岩屋317 Tel. 0772-43-0469
HP: https://yosano-kankou.net/kankou/chirimenrekishikan/


→ 地元丹後をはじめ、全国からシルク製品を集めた織物ミュージアム。織物工場の跡地をそのままミュージアムとして活用している。丹後ちりめんの技術革新のきっかけを作った希少な「八丁撚糸機」を展示している。工場建屋のギザギザ屋根は、自然光で絹糸を見えやすくするためと、力織機の大きな音が響きにくくするためという目的があったという。ちなみに、縮緬(ちりめん)とは絹を平織りにして作った織物で、一般的には、経糸にはほとんど撚り(より)のない糸を使い、緯糸として、強い撚りをかけた右撚り糸(右回りにねじった糸)と左撚り糸(左回りにねじった糸)とを交互に織り込む。このため、精練すると、撚りのかかった糸に撚りを戻そうとする力が生まれ、布が縮んで、生地の表面にシボ(凹凸)が現れる。主に高級な呉服や風呂敷に使われる。(参考:ちりめん – Wikipedia)



・参考:丹後ちりめんの歴史が分るー丹後ちりめん歴史館 https://daa-tango.ssl-lolipop.jp/trip/tangochirimen.html
・https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/silkwave/silkmuseum/KNChirimen/chirimen.htm
♣ 藍染ふる里資料館
所在地:埼玉県羽生市小松223 武州中島紺屋 Tel. 0485-61-3358
https://www.museum.or.jp/museum/1827
参照:藍染めのふる里 武州中島紺屋( https://www.izome.jp/)


→ 当武州中島紺屋は天保8年(1837年)創業の歴史ある紺屋。4代目当主は中島安夫氏で無形文化財保持者、多くの人々に藍の素晴しさを伝えるため資料館・即売館も併設。ハンカチなど気軽な物から絞り染など本格的な教室も開いている。
・参考:藍染め – Wikipedia
・藍染ふる里資料館 | 美術館・博物館 | アイエム[インターネットミュージアム] (museum.or.jp)
+++++++++++++
<参考資料>:
・中川政七商店の読みものー染物・織物とは、多様な種類と日本の布文化の歴史―https://story.nakagawa-masashichi.jp/craft_post_category/dyeing-weaving
・遠藤元男・竹内淳子 著『日本史小百科』近藤出版社 (1980年)
・小笠原小枝 著『染と織の鑑賞基礎知識』至文堂 (1998年)
・河上繁樹・藤井健三 著『織りと染めの歴史―日本編』昭和堂 (1999年)
・滝沢静江 著『着物の織りと染めがわかる事典』日本実業出版社 (2007年)
・中江克己 著『日本の伝統染織辞典』東京堂出版 (2013年)
・日本工芸会 編『日本伝統工芸 鑑賞の手引き』芸艸堂 (2006年)
・日本工芸会東日本支部 編『伝統工芸ってなに? -見る・知る・楽しむガイドブック-』芸艸堂 (2015年)
・萩原健太郎 著『民藝の教科書② 染めと織り』グラフィック社 (2012年)
・丸山伸彦 著『産地別 すぐわかる染め・織りの見わけ方』東京美術 (2002年)