ー資料館にみる計算機器の進化とコンピューターの歴史ー
(作業中)
はじめに

人類は文明が成立して以来、社会的営みの一つとしてモノを数え計算するという行為を発展させてきた。当初は、手が“数え”の基準であったが、次第に石や木片などの道具を使うようになり、算木、アパガス、計算尺など数学を応用した器具も作られるようになった。そして、数字を書き記す技法が発展すると手動で操作をおこなう計算器具が生まれている。こうしたことを背景に、機械式計算機は17世紀頃、歯車式計算機の開発がはじまり、19世紀には数学理論化と物理学の発展により真空管による電子式計算機(ENIAC)が発明され、次にトランジスタ・ICによるコンピューター開発と急速に進化している。一方、日本では、長くそろばんが計算用具として使われてきた。機械式計算用具の発展をみると手動式、電動式のものから卓上電子計算機(電卓)、そしてPCへと進化し日常的に広く使われるようになっている。
今回は、これら計算機と計算用具、コンピュータの歴史と技術を扱った博物館を紹介してみた。
❖ 資料館にみる計算機器・コンピューターの歴史は・・

この計算機器コレクションと展示品の意義・内容について、見学した東京理科大学近代科学資料館展示を参照しつつ解説してみる。
・参考:https://igsforum.com/visit-rikadai-kagaku-haku/
・参考:キース・ヒューストン「計算用具の歴史―石、そろばんから電卓までー」(原書房)
・参考:ハーマン・H・ゴールドスタイン「計算機の歴史」(共立出版)
<古代からの計算道具・機器>


資料館には、先史時代からの「数える」道具類が数多く陳列されている。この中には、石や木、わらを使って数を数える道具類、古代の「算木」呼ばれる計算道具などがみられる。また、古くから使われた「そろばん」の展示があり、原初期から近代まで広く使われた上下段付きの「そろばん」まで、古今東西のそろばんが数多くそろえてある。中でも、中国のそろばんの歴史を示すものや日本の近代以降広く使われた各種そろばんの展示は見応えがある。これらを見ていると、人類にとって「計算」という作業が文明の形成にとって如何に大切であり、工夫を凝らして道具づくりをしてきたかがよくわかる。



<近世・近代以降の計算機器>


近世以降、開発された計算道具は多種多様であるが、資料館には機械式の計算機と計算尺、アリスモメーターなどが展示されている。この中には、パスカルの計算機パスカリーヌ、17世紀に発明された「ライプニッツ計算機」のレプリカもみられる。日本では、「和算」に使われた「算木」のほか、そろばんなど近代の計算機器の開発が盛んに行われていたことも展示で示されている。明治以降をみると、西欧の計算機技術が導入されるようになり、日本独自の計算機も生み出されていった。明治36年(1903)、矢部良一が製作した「自働算盤」(「パテント・ヤズ・アリスモメートル」がその第一号となっている。


一方、日本では長い間「そろばん」が最もポプラーな計算器具として使われていたが、1950年代以降になると機械式の計算機も広く使われるようになる。このうち最も広く使われたのが「タイガー式計算機」。資料館の機械式計算機のコーナーには、このタイガー式計算機の歴代モデルが展示してある。そのほか、東芝の20-TC卓上計算機も見える。 また外国モデルの機械式計算機も数多く展示されていて、国ごとの特色がよくわかる構成になっている。このころ電動式の機械計算機も出現しているが、このうち「モンロー式計算機」が有名であった。その頃の値段で数十万円もしたというから非常に高価なものであったとされる。また、日本では、1950年代、カシオがリレースイッチを使った電気式計算機を開発しており、この貴重な初期モデル「 Casio 14-A」も展示してあった。これが日本における電気子式計算機開発の先駆となっている。一方、世界では1940年ごろから、リレー式計算機や真空管方式/トランジスタ方式の電子計算機、つまりコンピュータが開発され始める。



<「計算」に革命を与えた電卓の普及>
1960年代になると、真空管に替わった半導体の技術により電子式の「計算機」、いわゆる「電卓」が普及してくる。このうちでは、国内初の電卓であるシャープの「Compet CS-10」がよく知られる。また、ソニーがソバック(Sobax)を発売している。この頃、東芝やパナソニックなど電気メーカーがオフィス用の卓上型電子計算機も数多く開発してブームになっており、オフィスでの計算業務が急速に機械化されていった。特に、LSIを利用した電卓の発明は小型計算機のコスト削減と軽量化を果たし普及に拍車をかけた。この先鞭を付けたのはカシオの「カシオミニ」であった。カシオやシャープなどの電気メーカーは計算器具を急速に小型化して価格を引き下げ、「電卓」を「そろばん」に変えて数計算の主役に引き上げていった。このことは展示でもよく示されている。
この間、多様な「電卓」が開発されたが、初期の比較的重量のあるものからカードサイズの「電卓」まで、時代の流れにそって、どのように電卓が進化してきたかがよくわかる。
・参照:電卓(電子式卓上計算機)の歴史(東京理科大学生涯学習センター「コンピュータの歴史」講演資料)dentaku-museum.com/1-exb/special/rikadai/rikadai.html#1
<大型電子計算機コンピュータの展開>
一方、これに並行して急速に発展していったのが大型電子計算機コンピュータ(メインフレーム)である。複雑な科学計算、工学計算には大型のメインフレーム・コンピュータが必須であった。世界で初めてプログラム言語によって計算を行うコンピュータが開発されたのは、1940年代で、1946年にペンシルバニア大学で開発された最初のコンピュータが“ENIAC”である。続いて1949年にプログラム内蔵式コンピュータEDSACが生まれている。 1950年代に入ると商用コンピュータも出現している。
日本においても黎明期のコンピュータはEDSACに倣って作られたもので、1950年代末から1960年代にかけて,日本の大学,国立研究所,コンピュータメーカなどでも研究用に開発も進んでいる。理科大科学資料館では、これら初期のコンピュータの展示はスペースの制約で少ないが、1950年代に真空管を使った富士通のFACOMコンピュータが展示されている。この時代のコンピューターには真空管が使われており、現在に比べると形状も大型で能力も格段に低かった。また、資料館には大阪大学で使っていたという機械式では珍しい航空機開発のための積分計算機の復元モデルも展示されていた。一方、国立科学博物館では、日本で最初に稼働した真空管式計数電子計算機FUJIC(富士フィルム1956年)が展示されている。
一方、1960年代から1970年代にかけての大きな変化は、半導体・トランジスタを使用したオフィス・コンピュータの出現と発展である。このはしりはETL Mark III トランジスタ式計算機(電気試験所1956年)である。海外メーカーであるIBMも勿論、1964年には富士通,沖電気,日本電気が共同で大型コンピュータFONTACを開発、日立製作所では科学技術計算用の大型汎用コンピュータHITAC 5020を1964年開発している。これらの成果や米国との技術提携により,日本のコンピュータメーカーは小型超能力の第3世代のコンピュータ開発に移り、新シリーズを発表している。NECはハネウェルと提携してNEACシリーズ2200を,日立はRCAと提携してHITAC 8000シリーズなどが、その例である。
・参照:誕生と発展の歴史-コンピュータ博物館(IPDJコンピュータ博物館) https://museum.ipsj.or.jp/computer/dawn/history.html
・参照:ETL Mark III トランジスタ式計算機(IPSJコンピュータ博物館)https://museum.ipsj.or.jp/computer/dawn/0011.html
<大型コンピュータからパソコンへ>
しかし、コンピュータでは、ムーアの法則にもあるとおり大型からパーソナルコンピュータ(PC)への推移は早かった。資料館には、こういったPC関係の展示は豊富であった。IBMの初期PCからアップルのPCモデル、東芝のダイナブックなどが各種陳列されていて、その普及と発展を見ることができる。(展示写真参照)
(注)上記記述は筆者が2019年に訪問した時の展示品レビューであるが、これら展示品の殆どは現在東京理科大学野田キャンパスに移されている。
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♣ 東京理科大学近代科学資料館
所在地:東京都新宿区神楽坂1-3 Tel. 03-5228-8224
HP: https://www.tus.ac.jp/info/setubi/museum/index.html
→ 東京・飯田橋にある東京理科大学の近代科学資料館は、明治時代の洋館風校舎を模様替えし1991年に設立されたもので、各種科学機器、計算機、コンピューター機器などコレクションをもつ日本でも有数の科学展示博物館である。近年、計算機、コンピューター機器については所蔵が野田キャンパスに移されている。2019年当時、訪問した際には、資料館はまだ飯田橋校舎内にあり、スペースはそれほど広くないものの、古代の原初的な計算器具から現代の電子計算機に至る多様な計算用具が時代別に豊富に展示してあって、「計算」のしくみと計算機器の歴史がよくわかる内容であったと記憶している。
♣ 東京理科大学なるほど科学体験館-コンピュータ博物館
(東京理科大学近代科学資料館付属施設)
所在地:千葉県野田市山崎2641 東京理科大学野田キャンパス
HP: https://museum.ipsj.or.jp/satellite/MathSci_Experience_Center.html
→ ここでの展示品は、かつて神楽坂の近代科学資料館にあった所蔵品を東京理科大学付属施設として移転し、多くの計算機資料がここに移され展示されている。「なるほど科学体験館」は数学教具をさわって実験して学習することができる体験館として開設されたものだが、身近な科学の展示物とともに計算機の歴史のコーナーが設けられている。そろばんなど計算のための道具から始まって,タイガー計算器などの機械式計算機や電動式計算機,大型の機械式微分解析機,そしてマイコン,パソコンへと歴史の流れにそって展示がされている。これらは、神楽坂キャンパスに手展示されていたものだが、9号館では,FACOM 201パラメトロン計算機など大型計算機が展示されている。
See: 東京理科大学近代科学資料館
・参照:東京理科大学なるほど科学体験館(コンピュータ博物館)https://museum.ipsj.or.jp/satellite/MathSci_Experience_Center.htm
・参照: IPSJコンピュータ博物館https://museum.ipsj.or.jp/satellite/MathSci_Experience_Center.html
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♣ 樫尾俊雄発明記念館 電卓と時計の展示室
所在地:東京都世田谷区成城4-19-10
HP: https://www.kashiotoshio.org/
・参考:https://igsforum.com/visit-kashio-toshio-memorial-hall-rjj/
→ カシオ記念館は創業者の一人樫尾俊雄氏が住居兼仕事場として使っていた自宅を記念館として改造し一般に開放したもの。それだけに、カシオ創立者の開発に関わった時の息吹や雰囲気が伝わってくる暖かみがある施設である。2012年に現在のかたちで開館した。カシオの製品群とこれらの開発にいたる歴史に改めて思いをめぐらすことができる。展示部屋は4つに分かれていて、創業期の頃のカシオ計算機展示、電卓と時計の展示室、カシオの楽器展示コーナー、樫尾氏の仕事部屋の部屋割りとなっている。
計算機の部屋には、会社カシオの発展の契機となった「カシオ14A計算機」の初号機の現物が展示されている。1970年代に製作されたこの計算機はまだ運用できる状態に保たれている。故障して動かなくなっていたものを関係者が修復し動かすようにして展示したという動体展示である。目の前で数十年前のリレー式計算機が音を立ててスムースに動いている姿は感動的である。その後、計算機自体は、超積載半導体(LSI)、液晶などの開発で「電卓」となりすべての計算機能が、一枚の板状のものに詰め込まれるようになったが、原点はこのような構造であったのかと実感できる。
<電卓の展示:数の部屋>
1970年代以降、エレクトニクスの発展により電子式の計算機が飛躍的に普及するが、カシオはこの技術開発の先頭をきり、シャープなどとの「電卓戦争」と呼ばれる開発競争を展開、この分野の主要メーカーとしての地位を獲得していく。この中で特質されるのが「カシオミニ」で数十万台の売り上げるヒットであった。これが電卓戦争の契機となり、当初数十万円した計算機が後には一万円以下の普及商品となる基を作ったのである。このカシオの電卓開発の模様は、計算機コーナーの年次別に整理された電卓製品の展示物によく示されている。記念館の展示では、時計、楽器なども見どころの一つであるが、ここでは時計のみを取り上げた。
<カシオの創業と展開>
カシオ”の正式社名は「カシオ計算機株式会社」で、基になったのは1946年に創立された小さな「樫尾製作所」である。この製作所は、創業者の子息四兄弟(樫尾忠雄・俊雄・和雄・幸雄)によって発展をとげ、電子分野の技術ベンチャー企業として現在の地位を確立した。
その基となったのは、先に紹介した日本初の「リレー式計算機」の開発であり、その後の超小型電卓、電子式腕時計、電子楽器分野など幅広い商品部への進出であった。また、この成功のカギの一つは技術開発力の斬新さといわれており、事業の発展を家族が一体となって成し遂げてきたという点である。この開発過程での俊雄の貢献は大きく、没後、樫尾俊雄の自宅が、カシオの商品と開発のエピオードと共に展示する記念館になっていることも納得できる。
・参照:カシオの歴史 https://www.casio.co.jp/company/history/
・参照:日本の創業者列伝 ー 樫尾俊雄とは https://www.sophiat.com/biography/content_jp_great/
・参照:CASIOの礎を築いた希代の発明家・樫尾俊雄 https://emira-t.jp/ejinden/1775/https://emira-t.jp/eq/10096
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♣ 国立科学博物館 理工電子資料館 計算機・コンピュータコレクション
所在地:東京都台東区上野公園 7-20 Tel. 050-5541-8600
HP: https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/past_parmanent/rikou/
→ 国立科学博物館理工電子資料館には、歴史的な計算機・計算用具、コンピューターが収蔵されており、インターネット上で詳細展示を見ることができる。
(See: 理工電子資料館: 計算機・コンピュータ https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/past_parmanent/rikou/computer/computer-index.html)
また、同科学博物館の「科学技術の歩み」コーナーには、産業技術史としての機械式計算機、電子計算機の現物展示があり、機械式計算機や日本で開発された手回し式の計算機や計算尺、日本での国産コンピューター、電卓とパソコンの詳しい現物展示がなされている。
このうち、機械式計算機では、九元連立方程式求解機、ケルビン式潮侯推算機、日本のタイガー計算機と高速自動計算機、そして、コンピューターでは、日本初の大型リレー式計算機ETL-MARK II、真空鑑識計数型計算機FUJIC、鉄道座席予約システムMARS-101などが解説付きで展示されている。また、電卓・PC関連展示では、ビジコン社の初期電卓(1971)、マイコンPCTK-80(1976)などが見られる。
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♣ 統計数理研究所 計算機展示室
所在地:東京都立川市緑町10番地の3
HP: https://www.ism.ac.jp/ism-tour/
→ 統計数理研究所は、大学共同利用機関としての役割を有し多くの統計数理の研究者を有する統計研究の中核的存在となっている機関。この中に多様なコンピュータを所蔵し展示している計算機展示室がある。ここでは交流アトリウムが用意されていて、物理乱数装置(情報処理技術遺産)をはじめ、そろばんや計算尺から、1980年代のパソコン、さらに2010年代のスパコンのシステムボードまで、本体や周辺装置,部品が詳細な解説とともに保存・展示されていて,半世紀以上にわたる科学技術用コンピュータの歴史を見てとることができる。ちなみに、1990年前後には多数のコンピュータベンチャー企業が生まれ,ワークステーションや並列コンピュータを生産しているが、そのとき製造された機器の多くは現在多くは失われてしまっている。本展示室にはクボタ・コンピュータのTITANなど,貴重な資料が残されている.また展示室に隣接した区域には研究所現用のスーパーコンピュータも運用されており,過去から現在,将来に向けた博物館となっている。
これらのうち、研究所が例示している展示品としては、音響カプラ付携帯端末(1974)、HITACHIアナログ計算パッチボード(1974)、視聴覚的情報検索システム(1980)、OS CP/M-80 V2.2 CP/M-68K(1983)、アナログ計算機 EAI1000(1987)、TITANパラレル演算装置(1991)、CRAY ORIGIN 2000(1998)などがある。
また、インターネット上では、1950年代から現在までの年代別のメインフレーム・スパコンの変遷、統計数理研究所の特殊用途計算機器の変遷が紹介されていて参考になる。
(See: https://www.ism.ac.jp/ism-tour/pdf/nenpyou1950_2010_0318.pdf)
・参照:情報・システム研究機構 統計数理研究所 計算機展示室(IPSJコンピュータ博物館)https://museum.ipsj.or.jp/satellite/ism.html
・参照:統計数理研究所 – Wikipedia
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♣ 総務省統計局・統計博物館
所在地:東京都新宿区若松町19-1 Tel. 03-5273-1187
HP: https://www.stat.go.jp/museum/
https://igsforum.com/wp-admin/post.php?post=13211&action=edit
・参考:https://igsforum.com/2023/07/28/visit-toukei-m/
→ 統計博物館は総務省統計局(第2庁舎)に併設された広報展示施設で、明治初期からの統計資料、国勢調査の記録、古い統計集計機など日本の統計の歴史や重要事項について学べる公的資料博物館。館内には、統計の歴史や明治期の偉人と統計との関わり、戦後日本の統計制度の再建などの歴史をパネル等で紹介されているほか、明治初期からの統計に関する貴重な文献や国勢調査の記録資料・調査用品、日本初の統計集計機や入力カード用の穿孔機などの歴史的な機器が展示されている。
中でも貴重な実物歴史資料としては、明治期に統計調査結果の集計に使われた『川口式電気集計機』と「亀の子型穿孔機」は珍しい展示である。これは、穿孔カードを読み取って分類集計する当時としては画期的なもので、「明治37年人口動態統計調査」にも使用されている。当時の情報処理技術レベルを知る上で貴重な情報処理技術遺産である。そのほか、昭和5年国勢調査の集計に使用した「複式自動分類集計機」、昭和30年国勢調査の集計に使用した「電子管式分類機」、「マーチャント計算機」(1925)、「ダルトン計算機」、「タイガー電動式計算機」(1928)など電子計算機以前の集計機器が陳列展示されている。
・参照:統計局 – Wikipedia
・参照:統計資料館 – 新宿区若松町 – しんじゅくノート[新宿区] https://shinjuku.mypl.net/shop/00000307288/
・参照:統計がどれだけ重要か学べる省庁ミュージアム『統計博物館』(新宿区)https://chihirog.com/stat-museum/
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♣ 大阪大学真空管計算機 コンピュータ博物館
所在地:大阪府豊中市待兼山町1-20 大阪大学総合学術博物館 Tel.06-6850-6284
HP: https://www.museum.osaka-u.ac.jp/
→ 大阪大学総合学術博物館内にあるコンピュータの黎明期の常設展示。大阪大学では第2次世界大戦の後、真空管式の電子計算機の開発に取り組んでいた。数学を専門としていた大阪大学工学部の城憲三(1904-1982)は計算機の重要性を早くから認識し、その研究を行っていたが、大戦中にアメリカで開発された電子計算機ENIACの情報が公開されると、すぐさま電子計算機の研究に着手。このコーナーでは、さまざまな機械式計算機とともに、1950年に城が試作したENIAC型10進演算装置、1950年代に本格的に開発に取り組んだ大阪大学真空管計算機を展示している。
・参照:大阪大学真空管計算機-コンピュータ博物館(IPSJ)https://museum.ipsj.or.jp/heritage/handai-shinkukan.html
・参照:大阪大学総合学術博物館(HH cross TOWNS WEB版)https://towns.hhcross.hankyu-hanshin.jp/spot/1481/
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♣ 東北大学サイバーサイエンスセンター 分散コンピュータ博物館
所在地:宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6番3号 Tel. 022-795-3407
HP: https://www.cc.tohoku.ac.jp/museum/
→ 東北大学サイバーサイエンスセンターは全国の大学等全国共同利用施設で、最新鋭のスーパーコンピュータや学内ネットワークの中核設備を設置している施設。センターの1階にはコンピュータの歴史の展示室が設けられており、コンピュータ技術の発展を広く知ってもらうため黎明期に東北大学と日本電気が共同開発した科学技術用パラメトロン計算機と歴代のコンピュータ、その部品や装置が展示されている。 ハードウェアの主な展示品には、パラメトロン計算機SENAC-1(演算ユニット,電源ユニット)、汎用コンピュータACOSシステム900、並列コンピュータTX-7/AzusAスーパーコンピュータSX-2N、スーパーコンピュータSX-3、SX-4、SX-7、SX-9、地球シミュレータ(2ノード)、スーパーコンピュータSX-ACE、汎用コンピュータACOS 3900/10、磁気ディスク装置など。
・参照:東北大学サイバーサイエンスセンター展示室-コンピュータ博物館(IPSJ) https://museum.ipsj.or.jp/satellite/tohokudai.html
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♣ 京都コンピュータ学院資料館(KCG資料館)
所在地:京都市南区西九条寺ノ前町10-5
HP: https://www.kcg.ac.jp/museum/computer/index.html
→ 京都コンピュータ学院は1963年に設立された日本最初のコンピュータ教育機関である。創立以来,教育実習に使用した歴代の汎用コンピュータ,パソコン,周辺機器などを長く学内に保管してきたが、この技術者育成に活用された機械を次世代に継承しようと1998年に開設したのがKCG資料館(コンピュータ・ミュージアム)。小型コンピュータTOSBAC1100をはじめ,1970年代初頭の,当時としては画期的な国産コンピュータTOSBAC-3400,1970年代末から1980年代にかけて世界中で活用されたIBM370,UNIVAC1100やUNISYS2200の各シリーズ,また,SHARP MZをはじめとする歴代のパソコンなどを,当時の資料とともに公開している。 この資料館の収蔵品は、一般社団法人情報処理学会により「情報処理技術遺産」と認定されており、また,KCG資料館は「分散コンピュータ博物館」の第一号として,同学会より認定されている。
・参照:京都コンピュータ学院KCG資料館紹介(IPSJ) https://museum.ipsj.or.jp/satellite/kyoto_kcg.html
・参照:[プレスリリース]2008年度情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定式-(情報処理学会) https://www.ipsj.or.jp/release/heritage2008.html
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♣ 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 記号処理計算機コレクション
所在地:石川県能美市旭台1-1 Tel.0761-51-1031
HP: https://www.jaist.ac.jp/index.html (JAIST)
→ 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)には1980年代に日本電信電話(NTT)が開発したLISPマシンのELISなど多数の記号処理計算機が保存され,JAIST記号処理計算機コレクションとして展示が行われている。1970年代後半の電電公社時代に、NTT武蔵野電気通信研究所はLISPマシンの研究に着手し,プロトタイプを試作した.民営化されたNTTでは1980年代後半にELISワークステーションの実用化を行い,NTT-ITによりELIS-8100およびELIS-8200が発売された.コレクションには,これらのELISの試作機から商用機までの種々のモデル部品および関連資料などが保存され、さらにICOTのPSIなども保存されている。一部の機器については動態展示も試みられており、2010年8月にはJAIST創立20周年記念行事の一環としてELIS復活祭が開催され、ELISを中心とした展示および実演が行われた。JAIST記号処理計算機コレクションは情報科学研究棟内にあり,主な保存・展示品は次の通り。
・LISプロトタイプ: Hydrogen,VX-2000、 ELIS製品:ELIS-8100シリーズ,ELIS-8200シリーズ、
・ELISボード: ELIS/VMEボード,ELIS/PC CPUボード,ELIS/PCフロントエンド、
・ELIS VLSI: ELIS VLSIチップウエーファ,ELIS VLSIチップ
・その他: CELIS,TAO/SILENT,PSI(ICOT),お茶の水5号(東大・スケーラブル並列計算機)
・参考&引用:引用北陸先端科学技術大学院大学 JAIST記号処理計算機コレクション-コンピュータ博物館(IPSJ) https://museum.ipsj.or.jp/satellite/hokurikusentandai.html
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♣ 東京農工大学情報工学科 西村コンピュータコレクション
所在地:東京都府中市晴見町3-8-1 Tel.043-388-7448
HP: http://www.cs.tuat.ac.jp/study/lab/
→ 東京農工大学(TUAT)は、明治時代から続く伝統を持つ農学と工学、その融合領域を専門とする国立大学。このうち情報工学科は、情報工学の広範な研究分野(計算機システム系、数理知能系、情報メディア系)を網羅する。このうち、計算機システム系の「西村コレクション」は,数理情報工学科(電子情報工学科)に在職していた西村恕彦が,教育用の資料として個人的に収集したものである。コレクションは1960年前後のものが中心で、両手で持てるくらいの大きさの部品やマニュアル類が網羅されている。また、教育に使ったタイガー計算器をはじめ、多種の機械式計算機、ミニコンやパソコンも収蔵されている。収蔵品は情報工学科の会議室,実験室・演習室等に展示・保管されており見学できる.
・参照:東京農工大学情報工学科西村コンピュータコレクション(IPSJ)
https://museum.ipsj.or.jp/satellite/noukoudai.html
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♣ 科学技術継承財団 「マイコン博物館」
所在地:東京都青梅市仲町295 青梅プラザ(科学技術継承財団)
HP: https://scitech.or.jp/micommuseum/
→ マイコン博物館は、個人用計算機、個人用情報処理機器を収蔵・展示するミニ博物館。数多くの歴史的に貴重な個人用コンピュータを収集・展示を行っている。1970年代からのマイコン革命の中で、コンピュータメーカー、家電メーカー各社が独自アーキテクチャを持ったパソコン・マイコンを発売したが、これらのうち、今では稀少となっているこれら貴重な機器を収集・収蔵し、可能なかぎり動態展示を行っている。計算技術の歴史を示す計算尺・手回し式計算機・電動計算機・初期の電卓も収蔵。見学には事前の利用予約が必要であるので注意が必要。
・参照:科学技術継承財団 「マイコン博物館」と「夢の図書館」(IPSJ)
https://museum.ipsj.or.jp/satellite/gijyutsu.html
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♣ 電卓博物館(インターネット博物館)
See: http://www.dentaku-museum.com/
→ 電卓博物館は、電卓愛好家による私設の運営のバーチャルサイト。昔の電卓を中心に計算用具全般の情報をインターネットで公開している。電卓(電子式卓上計算機)の歴史的な変遷や珍しい機種を展示・紹介する。カシオ計算機やシャープなど、日本のメーカーがリードしてきた電卓の発展を知ることができる。サイトは、ヴィンテージ・デスクトップ電卓の部屋、ヴィンテージ・携帯型/ポケット電卓の部屋、液晶タイプを中心としたポケット電卓の部屋、電卓以外の計算用具の部屋となっている。現物は見ることができないが、ここで紹介されている電卓コレクションの一部は、2019年まで東京理科大学近代科学資料館に委託展示されていた。
・参照:https://weekly.ascii.jp/elem/000/002/609/2609304/
・参照:http://www.dentaku-museum.com/2-ref/data/musium/scienceuniversity/scienceuniversity.html
・参照:大崎 眞一郎「電卓のデザイン」(太田出版)
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<参考> 分散コンピュータ博物館-コンピュータ博物館 (ipsj.or.jp)
HP: https://museum.ipsj.or.jp/satellite/
See: https://www.ipsj.or.jp/index.html (情報処理学会)
→ 分散コンピュータ博物館は情報処理学会が運営しているインターネット博物館。会員団体の各地にあるコンピュータ資料館の収蔵内容を紹介している。2009年に日本のコンピュータに関する重要な研究開発成果や顕著な影響を与えたコンピュータ技術・製品などを認定する認定制度が発足しているが、これら関連技術を次世代に継承していくことを目的として運営が開始されている。情報処理学会のメッセージでは次のように趣旨を述べているので参考になる。
「我が国にはコンピュータ専門の博物館がありませんが、規模は小さいながら、貴重な資料を蒐集、展示している組織・施設は多数あります。その努力に感謝すると共に、より多くの方々にその存在を知っていただき、利用してもらえるようそれらを情報処理学会の分散コンピュータ博物館として認定する制度を発足しました。情報処理学会のコンピュータ博物館はバーチャルですが、これらの分散博物館では実物が見られますので、先人の創意工夫や苦労を実感できるでしょう。分散博物館は原則として誰でも見学できますが、見学に必要な手続などは博物館ごとに異なります。見学希望の際は、事前に各博物館にご確認下さい。」
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(機械式計算機、コンピューター以前の計算機)
♣ 計算尺資料館
HP: http://www.keisanjyaku.com/sliderules.htm
HP: http://www.keisanjyaku.com/(計算尺愛好会)
→ 計算尺愛好会(旧名泥沼愛好会)によるインターネットミュージアム。HOPE No.530 HEMMI No.P135K 復刻尺 No.301A 自動制御工学用 特殊計算尺研究所 バネ計算尺など各種計算尺などが幅白く紹介されている。
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♣ 日本そろばん資料館 (全国珠算教育連盟)
東京都台東区下谷2丁目17-4 Tel. 03-3875-6636
HP: https://www.soroban.or.jp/howto/areko世界に広がるそろばんre/museum/
日本そろばん資料館についてhttps://www.soroban.or.jp/museum/about/
→ 国内外の珠算及び珠算教育に関する文献・資料・古そろばん等の収集および保存、展示をしている博物館。館内には歴史的にも貴重な古そろばんや和算書ほか珠算等に関する書籍、その他そろばんに関連した資料を数多く所蔵している。資料館は、そろばんが日本の伝統文化の一つであることの認識を深めることを目指して全国珠算教育連盟がせつりつしたもの。所蔵する資料から、そろばんのルーツと変遷、和算との融合、公教育との歩み、算法や指導法など、歴史的な流れの中で、そろばんがどのように期待され、どのように評価されてきたのかを学ぶことができる。展示は、「そろばんで培うチカラ」、「いろいろなそろばん」、「世界に広がるそろばん」となっていて、それぞれの歴史を語るそろばんが並べられている。
・参考:日本そろばん資料館記事 https://soroban-museum.note.jp/
・参照:日本最古のそろばん「四兵衛重勝拝領算盤」について(日本そろばん資料館)
https://soroban-museum.note.jp/n/n28bdec88091f
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♣ 白井そろばん博物館
所在地:千葉県白井市復1459−12 Tel. 047-492-8890
HP: https://soroban-muse.com/
→ 珍しいそろばんを展示する常設そろばん博物館。世界中から集めたそろばんや関連資料を約2,8000点、江戸時代から現代の算盤までのそろばん、算盤と和算関係書籍、絵画およびそろばんグッズなどを展示している「手作りそろばん教室」など各種イベントも随時開催している。
・参照:白井そろばん博物館(ちば観光ナビ)https://maruchiba.jp/spot/detail_10069.html
・参照:白井そろばん博物館 (アイエムインターネットミュージアム)https://www.museum.or.jp/museum/16340
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♣ 大垣そろばん資料館
所在地:大阪府豊中市服部西町2丁目7-20
See: https://map.yahoo.co.jp/v3/place/hi6mc1VW1u6
→ 珠算塾を主宰する大垣憲造氏の運営する私設のそろばん博物館。氏は珠算塾を運営する一方、四〇年以上にわたって世界と歴史のそろばんを収集してきたが、この膨大なそろばんを展示品として公開しているのがこの大垣そろばん資料館。内外の歴史的な珍しいそろばん1000点(展示は400点)のほか、江戸期の和算書、集散に関する書籍や雑誌5000点を収蔵している。
・参照:そろばんが映す民衆史 大垣憲造(日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD0831T0Y4A100C2000000/
・参照:大垣そろばん資料館に行ってきました https://www.amagi-soroban.com/?p=1848
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♣ 雲州そろばん伝統産業会館
所在地:島根県仁多郡奥出雲町横田992-2 Tel. 0854-52-0369
See: https://www.kankou-shimane.com/destination/21069
→ 奥出雲は、日本一のそろばん「雲州そろばん」の生産地として知られているが、この産業会館は、この伝統を受け継ぎ広めるため設立されたそろばん資料館。そろばんの歴史、技術開発と改良、伝統技術と工具、名工と伝統工芸師の作品と紹介を行っている。その由来は、江戸時代の文化文政(1804~1829)ころ、旧仁多町亀嵩の大工村上吉五郎が、当時有名だった「芸州塩屋小八作」のそろばんをまね、これを改良して作り始めたのが起源とされる。播州系の箱式そろばんは球(たま)の形が不均等であったが、吉五郎は珠を梅財、桁を赤樫(かし)でつくり、珠の形を均一するため足踏みろくろを考案して製作して成功する。そして、後に、これが元となり、明治10年(1877)に第一回帝国勧業博覧会に出品され一躍有名になったとされる。雲州そろばんは、黒檀、樺、柘などを原材料とした玉や枠作りに特徴があり、竹を素材とした軸作りなど、原材料から製品まで200近くの工程を経て生産され、頑丈で使い易いそろばんとして定評がある。
(https://www.kankou-shimane.com/destination/21069 より)
・参照:雲州そろばん伝統産業会館(そろばん資料館)(しまね観光ナビ) https://www.kankou-shimane.com/destination/21069
・参照:そろばんコレクション|株式会社雲州堂 https://www.unshudo.co.jp/story
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♣ 小野市伝統産業会館そろばん博物館
兵庫県小野市王子町806-1 Tel. 0794-62-3121
http://densan.onocci.or.jp/sorobanmuseum/
→ 久保田算盤店を経営していた久保田輝雄氏がそろばんの持つ「新たな可能性探求」に着目し、自らのアイデアで様々なそろばんを製作する一方、全国のそろばん収集家との交流も深める中、店舗の一部を利用し「小野そろばん博物館」を開設し、古いそろばん、歴代名工の逸品、名人が使用していた道具類などを展示していた。氏の没後、これらが小野市伝統産業会館に寄贈され、小野市伝統産業会館そろばん博物館となった。ここでは、小野市伝統産業の製品と共に、暮らしに結びついた多種多様なそろばん、海外のそろばん、素材・形の珍しいバラエティに富んだそろばんなどが豊富に展示されている。
・参照:小野市伝統産業会館 | 小野市 観光ナビhttps://ono-navi.jp/spot/177/
・参照: 日本各地のそろばんミュージアム (いしど式まとめ) https://www.ishido-soroban.com/matome/1163/
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(計算機 了)