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日本の 鉄道史跡と博物館ー役割と歴史ー(博物館紹介)

   ー鉄道のもつ魅力と技術発展の系譜を伝える資料館を点検するー   日本の鉄道をみると、明治5年に鉄道を開設して以来150余年、日本の物流、人流を支えるインフラ事業として日本の近代化に大きく貢献してきた。また、明治以降、西欧から吸収しつつ進展してきた蒸気機関車、車両製造技術は、日本の機械製作技術の発展に大きく寄与した。この歴史過程を示す鉄道博物館は、SLブームもあって最も人気のある展示施設として全国に広がっている。この節では、日本の主要な鉄道博物館の歴史展示、見学施設を紹介しようとしたものである。(数が多いため省略したものも多くある。別な鉄道博物館資料も参照して欲しい) (鉄道技術の黎明期を記す鉄道歴史施設) ♣ 旧新橋停車場 鉄道歴史展示室(史跡)                                    所在地:東京都港区東新橋1-5-3  Tel.03-3572-1872HP: https://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/facilities.html・参考:https://igsforum.com/2022/11/02/nippon-railway-open-part1-jj/(開業150年を迎える日本の鉄道を考える Part 1)・参考:https://igsforum.com/2022/11/10/nippon-railway-open-part2-jj/(同part2)  → 鉄道歴史展示室は、旧新橋停車場駅舎の再現に合わせて開設された史跡博物館。日本の鉄道開業の地である汐留の歴史とともに、明治期に日本の近代化を牽引した鉄道の発展と影響を紹介している。ちなみに、旧新橋停車場跡地は、1965年に「旧新橋横浜間鉄道創設起点跡」として国の史跡に指定されたが、発掘調査の後、風化を防ぐために埋め戻され、2003年に、その上に開業当時の駅舎を再現した「旧新橋停車場」が建てられた。内部は2階が鉄道の歴史に関する「鉄道歴史展示室」となっている。  展示室には、縮尺100分の1の模型によって再建された旧新橋停車場駅舎、開業当時の駅舎基礎石の遺構、発掘調査で出土した遺物の展示などのほか、鉄道開業の歴史的な経緯や往時の新橋停車場と汐留の状況、東京の町並み変化を伝える映像などが展示されている。また、鉄道の歴史や汐留界隈の郷土史などテーマにした企画展も随時開催される。特に、2023年には、日本の鉄道開通150年を記念して、鉄道開設当時の状況を伝える特別展も開かれている。 <参考>  明治初年に日本初の鉄道が開通してから約150年、この鉄道開設に関わる経過と政策、技術展開については以下の資料に概説しておいたので参照して欲しい。 ・参考① 開業150年を迎える日本の鉄道を考える(Part 1)ー鉄道開設の社会的意義と遺跡ーhttps://igsforum.com/2022/11/02/nippon-railway-open-part1-jj/ ・参考② 開業150年を迎える日本の鉄道を考える(Part2)ー拡大する鉄道網と技術の国産化ーhttps://igsforum.com/2022/11/10/nippon-railway-open-part2-jj/ +++++++++++++++++++++++++++ ♣ 博物館明治村 鉄道寮新橋工場(機械館)(史跡) 所在地:愛知県犬山市字内山1番地  Tel.0568-67-0314HP: https://www.meijimura.com/sight/  → テーマパーク「博物館明治村」の中に、幾つかの鉄道開設に関係する史跡、歴史的施設がある。この中の一つが、 鉄道寮新橋工場(機械館)である。ここには旧新橋停車場構内に建てられた工場建屋が移築されており、内部には鉄道関係のほか日本の近代産業形成を跡づける旋盤、木工、鍛冶、鋳物などの機械類が設置されている。この鉄道工場施設は日本で初めて鉄道が走った新橋-横浜間の起点、新橋停車場の機関車修復所として建てられたものである。日本の鉄道はあらゆる技術をイギリスから導入してはじめられており、機関車や線路はすべて英国製であり、鉄道敷設いたる全てを欧米の技術者、特に英国に頼らざるを得なかった。このため急遽技術吸収のため作られたのが工部省鉄道寮の新橋工場であった。この意味でも、日本の鉄道建設黎明期の重要施設であった。  工場の側面の壁に沿ったところに台車が保存展示されているが、明治32(1899)年の「東京車輌製造天野工場製ハ29」の台車とみられる。明治末年には、既に機関車製作の国産化が進み始めていることを物語る。 ・参照:https://plus.chunichi.co.jp/blog/ito/article/264/6910/明治村の鉄道5…2つの新橋工場と保存台車:達人に訊け!:中日新聞Web +++++++++++++++++++」 ♣ 旧鉄道局新橋工場(明治村) 所在地:愛知県犬山市字内山1番地  Tel.0568-67-0314HP: https://www.meijimura.com/sight/  → もう一つの明治村にある鉄道施設は「鉄道局新橋工場」。東京・汐留の新橋停車場構内に東京鉄道局が建てた工場施設の一つである。この新橋工場には、旋盤、木工、鍛冶、鋳物など9工場が設けられており、この建物は木工場で鉄道寮新橋工場にならって造られたものであった。大正8年(1919)に大井工場に移築され第二旋盤職場として、昭和41年(1966)まで使用されたといわれる。内部には、明治天皇が乗車したといわれる御料車が展示されている。  ちなみに、鉄道開設に向けた政府機関の変遷をみると、まず、明治 3年(1870)に 民部大蔵省に鉄道掛を設置して準備態勢を整える。初代は井上勝だった。翌年、これが工部省に鉄道寮となり、開通後の明治10年には鉄道寮廃止して工部省に鉄道局を設置した。明治23年 には鉄道局を鉄道庁と改称、内務大臣直轄となっている。上記の鉄道寮新橋工場は明治5年に建設、鉄道局新橋工場は明治22年の開設である。   明治村では、明治の鉄道関連史跡として、明治45年まで使われた「六郷川鉄橋」(明治8年、英人技術者ボイル設計、ハミルトンズ・ウインザー・アイアンワークス社製作)、動態保存されている国内最古のSL「12号」がみられる。 +++++++++++++++++++++++++++ (JRの運営する鉄道博物館) ♣ 鉄道博物館(JR東日本)  … Continue reading

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お酒の博物館ー日本酒の魅力ー(食と農の博物館)(6)

(日本酒を中心とした博物館の紹介)  日本のお酒づくり文化(「伝統的酒造り」)が、今年、ユネスコ無形文化遺産に指定された。伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術が日本の優れたものづくりだと世界的にも評価されたことを示す。国内の飲料では、ビールなどに比べて消費が伸び悩んでいるとはいえ、根強い人気と味の良さを誇る日本酒は幅広い人気を保っている。最近では、日本食の普及もあって海外でも「SAKE」と知られ好まれるようになった。今回の博物館紹介では、この日本酒の資料館、博物館を紹介してみた。 特に、日本酒近代化の歩み、京阪神、広島、新潟など酒どころの酒造メーカーの施設、その歴史、特色、酒の技術集団「杜氏」などについて、その概要を考察してみた。・参照:「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産へhttps://note.com/koji_sakezukuri/n/nd7bb490e54aa +++++++++++++++ ♣ 旧醸造試験所・赤煉瓦酒造工場(史跡) 所在地:東京都北区滝野川2-6-30 Tel. 03-3創設さ910-3853HP: https://www.jozo.or.jp/redbrick/・参考:滝野川「旧醸造試験所第一工場」を見学https://igsforum.com/2023/11/11/sake-jouzou-shiken-jo/  → 大蔵省が1904年(明治37)、日本の酒造りの近代化と酒類産業発展に貢献するため設立した清酒醸造試験工場跡。史跡となった赤煉瓦の建屋は重要文化財となっている。内部は当時の姿をとどめるボイラー室、原料処理室、旧麹室、清酒の近代化製法を普及させるため作られた研修工場で、明治以降の日本の酒づくりを支えた重要施設であった。建物の一階部分は、現在、見学者や研修のために使われている広いボイラー室と原料処理室、旧麹室、発酵室が整然と配置されている。二階部分は、酒の仕込みに使うタンクを置いた醸造室と麹づくりの麹室、地下階には温度調節された貯蔵室がある。また、貯蔵室内には、現在、「酒造100年プロジェクト」という日本酒の熟成に関する実験コーナーも設けられていて目をひく。旧麹室内には、昭和初期まで行われていた「酒造」講習の様子を示す写真パネルも用意されている。建築学的にも貴重な長手煉瓦のアーチとボールド天井、耐火床、外壁のドイツ積みと内部のイギリス積み煉瓦の組合せもみえ歴史を感じさせる。日本では珍しい白色施釉煉瓦の旧麹室は、日本酒の性質をよく考えた施工であるとの評価が高いようだ。ドイツのビール工場をモデルといわれるが、明治の建築家妻木頼黄が工夫をこらして設計したものと伝えられている. ・参考:滝野川「旧醸造試験所第一工場」学https://igsforum.com/2023/11/11/sake-jouzou-shiken-jo/ より ♣ 独立行政法人酒類総合研究所 所在地:広島県東広島市鏡山3-7-1   Tel. 082-420-0800HP: https://www.nrib.go.jp/  → 上記醸造試験所の後を受けて、2001年に酒類に関する研究機関として設立された政府機関。酒類醸造に関する調査研究、講習、受託試験などを行っている。関連機関として、日本醸造協会、酒文化研究所がある。設立の目的は、酒税の適正かつ公平な賦課の実現を図ること、酒類業の健全な発達を図ること、酒類に対する国民の認識を高めること、酒類醸造に関する研究などの活動とされ、今後の酒類業の発展と豊かな国民生活に貢献し、合わせて酒類先端技術の発信基地としてライフサイエンスの発展を図ることとしている。現在、研究活動のほか全国新酒鑑評会を開催なども開催している。・参照:酒類総合研究所 – Wikipedia +++++++++++++ ♣ 日本の酒情報館(日本酒造組合中央会) 所在地:東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F     Tel. 03-3519-2091HP: https://japansake.or.jp/JSScenter/aboutus/  → 全国酒造業者の中央組織「日本酒造組合中央会」が運営する日本酒の広報・情報提供施設。県別の会員名簿も公開されていて酒造業者の全容がわかる。展示室には。全国各地の清酒・本格焼酎・泡盛の原材料や麹の実物見本、櫂棒や半切り桶と呼ばれる酒造りの道具、全国各地の特色ある酒器などを展示している。館内には2台のTVモニターと2台のプロジェクターが設置されており、お酒に関する様々な映像コンテンツを放映している。また、大吟醸酒・純米吟醸酒・純米酒・古酒・スパークリング清酒・貴醸酒など、全国各地の様々なタイプの日本酒、芋・麦・米・黒糖などの本格焼酎や泡盛、そして酒蔵の造る様々な果実のリキュールを試飲できるという。 ++++++++++++++++++++++++ (近畿京阪神地区のお酒の博物館)― 酒どころ伊丹、伏見、灘などー ♣ 丹波杜氏酒造記念館(兵庫) 所在地:兵庫県丹波篠山市東新町1-5  Tel. 079-552-0003HP: https://tourism.sasayama.jp/association/2013/01/post-58.html  → 酒造りの名匠といわれる“丹波杜氏”の酒造記念館。館内では、酒造技術の近代化によって失われつつある昔ながらの酒造りの工程をはじめ、酒造道具や資料などが展示されている。丹波杜氏の由緒などの資料もあり、過酷な条件の中で腕を磨いてきた杜氏たちの歴史や、昔ながらの手作りでの酒の醸造過程をじっくりと見学することができる。 (丹波杜氏とは?)  丹波杜氏は、南部杜氏(岩手県)、越後杜氏(新潟県)と共に日本三大杜氏の一つに数えられ、1755年(宝歴5年)、篠山曽我部(現在の篠山市日置)の庄部右衛門が池田の大和屋本店の杜氏となったのが、その起源とされている。江戸時代には、伊丹や池田に出稼ぎし、「剣菱」や「男山」などの伊丹の酒は、丹波杜氏の造り出す銘酒といわれ、今あるほとんどの灘の銘酒を作り上げただけでなく、全国に指導に出かけ、地方の酒の原形を作ったとされる。 なお、「杜氏」とは、酒造の責任者を示す役職名で、「日本山海名産図鑑」には、その名の由来を「酒工の長なり。また、おやじとも云う。・・・」とも記され、この中でも、丹波杜氏は長年の勤勉と信頼によって築いてきたームワークのすばらしさを財産としてきたとの評価が高い。 ・参考:蔵元紹介 | 丹波杜氏酒造記念館https://www.toji.sasayama.jp/introduction/ ++++++++++++++++++ ♣ 白雪ブルワリービレッジ長寿蔵ミュージアム(小西酒造) … Continue reading

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