―日本の食品産業と食文化の歴史とみるー
(作成作業中)

今回のセクションでは、日本の食文化がどのように形成され発展してきたかを、農業技術発展、食品技術の発展、食品開発の観点から展示する博物館を紹介している。また、これら施設は各地に伝わる多様な食品、食材、菓子の特徴、メーカーの活躍を“ものづくり”のこだわりを詳しく示している。今回、これらを農業開発、家庭用一般食品、水産加工、発酵食品、酒造(洋酒、日本酒)などの観点から、どのように生まれ発展してきたかを各地にある資料館・博物館から眺めてみることとした。食品関係の博物施設は多様であり、かつ数も非常に多い。このコーナーではできるだけ沢山の施設を取り上げたが、漏れたものも多々あるのは了解許して欲しい。
第二回は、家庭用食品の博物館を紹介しつつ、日本の食文化の発展と歴史、食品産業の現状をみることとする。
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♣ 食とくらしの小さな博物館(味の素)
所在地:東京都港区高輪3丁目13番地65号 Tel.03-5488-7305
HP: (https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/museum/)
・参考:味の素「食とくらしの小さな博物館」を訪問:https://igsforum.com/2023/03/26/ajinomoto-museum/


→ この「食とくらし博物館」は、味の素グループの創業以来100年の足跡をたどりながら、日本の食文化変遷と同社の加工食品、調味料の進化を展示している食文化博物館である。当初、味の素社の研修施設としてつくられたものだったが、その後、一般向けに開放し、公共の博物資料館となった。 館では、小さな施設ながら、創業の歴史、開発した商品紹介のほか、日本人の食生活の変化を伝える展示を広く行っていて貴重である。そこには、創業者が「うまみ」成分を見いだして商品事業化していく様子、味の素が歴史を彩ってきた調味料の数々、開発してきた食品商品群が実物や写真で詳しく紹介されていて興味深い。展示施設は三つの展示コーナーからなっており、最初は味の素の歴史と商品を示す主展示、第二は日本の食事文化の展示、第三は食品ライブラリーである。


最初の主展示室では、味の素創業の歴史を示す写真、映像を展示しながら味の素100年の商品群の紹介を行っている。また、時代毎の人々の暮らしと食卓風景を描写しているのも興味深い。第二の「食文化展示室」では、企画展示として、味の素が所蔵する錦絵や当時の料理レプリカを公開、江戸時代の食文化を代表する季節毎の名物料理を紹介するなどテーマ毎に入れ替えて展示している。 第三の「食の文化ライブラリー」は「食」に関する専門図書館で、蔵書は約40,000冊を数え、江戸~昭和の料理書を中心とした貴重書も2,000冊以上あり、食に関する映像資料も多数所蔵している。味の素社の歴史や日本の食文化の歴史を知るには最適の施設であろう。
<多様な商品展示>


また、商品展示では、事業多様化と商品群紹介が大きなテーマとなっている。味の素は、社名を「味の素株式会社」と改めて、新しい消費市場動向に合わせた新製品の投入、調味料以外の事業多様化も進めていったが、展示ではその過程がよくわかる。例えば、販売政略では、1951年に容器を瓶詰めスタイルから「ふりかけ式」へ変更、1958年には、傘下に「日本コンソメ株式会社」(後のクノール食品)を設立してスープ市場へ進出、1960年には「アジシオ」、1962年には総合調味料「ハイミー」を発売している。さらに1968年に「味の素KKマヨネーズ」、1970年、マーガリン「マリーナ」、和風調味料「ほんだし」など新商品の投入が相次いだ。


特に大きいのは、1972年頃からの冷凍食品市場への参入。1972年以降の「エビシュウマイ」、同時期の「(冷凍)ギョウザ」などが例である。そのほか「ハンバーグ」、「エビグラタン」「麻婆豆腐」といったものも試行錯誤で製作された。


この冷凍食品は、1980年代以降の電子レンジの普及と共に大きな市場として注目されていたものであった。展示された味の素の商品群をよく見ると、そのまま日本の食材・調味料・食品の代表的なものといってよく、日本の食生活と社会変化を感じさせるものとなっている。
○ → また、博物館で紹介されている、味の素の創業と発展は日本の食品産業展開の一つの姿といってよく、興味あふれる展示内容である。ここでは、鈴木三郎助が、「うま味」成分を発見した科学者池田早苗と組んで、味の素を創業し、食品企業として発展していく姿を参考資料として、以下に簡単に触れておく。
♥ 参考資料:「食とくらし博物館」でみる味の素の創業と発展
<昆布とヨードから始まった「味の素」の創業>


「味の素」の創業は1909年(明治42年)とされるが、1907年創業者である鈴木三郎助が「鈴木製薬所」を設立し、“ヨード事業”を開始したことが起源とされる。また、科学者池田菊苗が“昆布だし”成分がグルタミン酸という「うま味」であることを発見し、鈴木が同氏と共同で商品化を進めたことが味の素社の発展へとつながっていくのであるが、この経過は博物館の展示コーナーに設けられた映像資料で詳しく紹介されている。
しかし事業には大きな困難が伴ったようだ。まず、生産技術面では、有毒塩素ガスの処理、腐食を防ぐ加工用容器に開発が必要なった。多く試行錯誤を経て最後は容器として地元の「常滑焼」甕が選ばれた。博物館には、当時の苦労を偲ぶため工場の常滑焼の甕(道明寺甕)が現在も展示されている。
<味の素の先進的な役割>



近年、日本の和食が独自の味文化の認識と健康志向よって世界的な認知度が高まっているようだ。この中でいろんな食品メーカーが活躍しているが、味の素は、その豊富な商品群と積極的な市場開発において代表的な存在だったと思える。展示された味の素の商品群は、そのまま日本の食材・調味料・食品開発の代表的なものといってよいだろう。戦後日本の社会生活、生活スタイルが形成される中で、日本の “食品文化”の核「和風のだし」“うまみ“が果たしてきた大きな役割、その技術発展が多くの独自の食品群をうみだしていることがよく認識できる「食とくらしの博物館」である。
・参照:https://igsforum.com/2023/03/26/ajinomoto-museum/より
・参考:食とくらしの小さな博物館―知る・楽しむー 味の素 株式会社 https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/museum/
・参考:社史・沿革 | グループ企業情報 「味の素グループの100年史」 https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/aboutus/history/
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♣ 味の素グループうま味体験館
所在地:神奈川県川崎市川崎区鈴木町3番4号 Tel.0120-003-476
HP:(https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/kengaku/kawasaki/tour_umami.html


→ 体験館では、“うま味”調味料「味の素」の歴史展示、“うま味”食材の紹介、「味の素」の原料・製造工程の見学などの事業を行っている。これらを通じて「おいしく食べて健康づくり」という志を広げ、うま味を発見した日本人科学者の紹介、“うま味”食材への知識を広げることを目的としている。
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♣ たばこと塩の博物館
所在地東京都墨田区横川1丁目16−3 Tel.03-3622-8801
HP: https://www.tabashio.jp/


→ 「たばこ」と「塩」の歴史と文化、製法の変遷を中心としつつ、幅広い社会テーマを取り上げて展示する博物館。日本専売公社(現・日本たばこ産業株式会社)により、1978渋谷公園通りに設立。その後、2015年に墨田区横川の現地に移転し、新改装して再開館している。
たばこは、アメリカ大陸の古代文明のなかで、儀式用の植物として人類に利用されたことを文化的な起源とし、16世紀以降、嗜好品として世界中に広まり、各地に特色ある文化が形成している。日本へは、16世紀末に伝来し、江戸時代を通して庶民文化にとけこみ、独自のたばこ文化が生まれた。一方、塩は、生命の糧として、人類と深い関わりをもっているが、日本では岩塩等の内陸の塩資源に恵まれず、縄文時代以来、海水を原料として濃い塩水を作り、それを煮つめるという独自の製塩技術が発達させてきた。


これらを背景として、「たばこと塩の博物館」では、たばこと塩に関する資料の収集、調査・研究を行い、その歴史と文化を広く紹介している。また、たばこと塩を中心としつつ、幅広いテーマを取り上げて多彩な特別展を開催しているのが特徴。
世界の塩展示コーナーでは、世界の塩資源として、海水の成分、世界の塩資源の分布などを紹介、珍しい岩塩彫刻も展示している。日本の塩コーナーでは、古代の塩焼き、各地の塩の揚浜、流下式塩田、現在の製塩をテーマに展示している。



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♣ 赤穂市立歴史博物館〔塩づくり〕
所在地:兵庫県赤穂市上仮屋916番地の1 Tel.0791-43-4600
HP: http://www.ako-rekishi.jp/salt/


→ 赤穂地方は古くから塩の産地として栄えてきた。なかでも江戸時代には入浜塩田による製塩法が完成され、その技術は瀬戸内地方を中心に広く伝わった。ここでは、赤穂流の入浜塩田の特色や技術、また赤穂塩の流通などについて、製塩用具(国指定重要有形民俗文化財)、入浜塩田模型、塩廻船模型などで説明している。特に、製塩用具は、今日では見られない塩づくりの技術や作業の過酷さを教えてくれる。


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♣ 坂出市塩業資料館(塩づくり)
所在地:香川県坂出市大屋冨町1777-12 Tel.0877-44-5036
HP: https://www.city.sakaide.lg.jp/soshiki/bunkashinkou/engyou-musium.html


→ 人間にとって必須である「塩づくり」の過程を紹介する資料館。坂出市は,塩作りにより発展してきている。その塩作りの歴史・文献などを保存,展示している資料館。塩田製塩時代の坂出の塩づくりのれきしをみることができる。
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♣ カップヌードルミュージアム横浜(安藤百福発明記念館)
所在地:神奈川県横浜市中区新港2-3-4 Tel.045-345-0918
HP: https://www.cupnoodles-museum.jp/ja/yokohama/


→ 世界初のインスタントラーメンを発明し、世界の食文化を革新した日清食品創業者・安藤百福の生涯を紹介すると共に、同社の多彩なカップヌードルを一堂に展示・紹介している。館内では、自分でデザインした「カップヌードル」「チキンラーメン」を作る「マイカップ ヌードル ファクトリー」、アジアのナイトマーケットをイメージした世界中8か国の麺料理を味わうことができる「ヌードル・バザール」などのアトラクションが用意されている。また、展示ではインスタントラーメン ヒストリーキューブ、日清食品の創業者安藤百福の半生を描いた百福シアター、百福の研究小屋も必見である。



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♣ カップヌードルミュージアム大阪(安藤百福発明記念館)
所在地:大阪府池田市満寿美町8-25 Tel.072-752-3484
HP: (https://www.cupnoodles-museum.jp/ja/osaka_ikeda/)


→ この記念館は、新しい食文化となったインスタントラーメンの歴史を通じて発明・発見の大切さを伝えるミュージアムとなっている。展示では、チキンラーメンが誕生した研究小屋を忠実に再現。生活感あふれる昭和レトロな小屋にラーメンが天日干ししてある様子や台所用具など発明の苦労とワクワク感を伝える内容となっている。


この経過を見ると、大阪・池田市の自宅裏庭に建てた小屋で、“お湯があれば、家庭ですぐ食べられるラーメン”の開発を1950年代に始めた安藤百福、1日平均4時間という短い睡眠時間で丸1年間休みもなく、たった1人で研究を続ける様子が描かれている。また、世界に広めるためのカギは食習慣の壁を越えることにあると気づき、知恵と革新的な発想を結集した「カップヌードル」を発明する。これにより日本で生まれたインスタントラーメンは世界食となっていく過程も必見である。2000年代に開発が始まった無重力状態でも食べるための宇宙食ラーメン「スペース・ラム」の成功も興味深い。
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♣ 酪農と乳の歴史館(雪印メグミルク)
所在地:北海道札幌市東区苗穂町6丁目1番1 号9 Tel.011-704-232
HP: https://www.meg-snow.com/fun/factory/sapporo/


→ 北海道を代表する乳業メーカー「雪印メグミルク」の企業ミュージアムで、雪印乳業の創業50周年記念事業として1977年に開館。館内では、乳製品の製造機器や工場の1/30模型、バターチャーン、創業時使用した製造機など約850点の展示品が並んでいる。創業以来の歴史を物語る重要な文献や貴重な資料、実際に使用されていた乳製品の製造機械を展示している。隣接する札幌工場で牛乳が作られている過程も見られる。


・参考:https://www.visit-hokkaido.jp/spot/detail_10077.html
・参考:北海道デジタルミュージアムhttps://hokkaido-digital-museum.jp/facility/megmilk-snow-brand-museum/
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♣ カゴメ記念館〔トマト加工品〕
所在地:愛知県東海市荒尾町東屋敷108番地 Tel.052-603-1161
HP: https://www.kagome.co.jp/company/
・参考:カゴメの歴史https://www.kagome.co.jp/company/about/history/
・参考:(http://japannavi.co.jp/chita/sightseeing/all/00153.html?mode=sp)


→ カゴメ社を創業した蟹江一太郎の創業時の想いやカゴメの商品や歴史を示す記念館。明治41年に日本で初めてトマトケチャップとウスターソースを売り出したカゴメのj事業発展を時系列で展示、貴重な資料や当時使っていた道具などがみられる。


カゴメの歴史は、1899年(明治32年)に一太郎が西洋野菜の栽培に着手した頃から始まる。1906年には、東海市荒尾町西屋敷に工場を建設してトマトソースの本格的生産に入った。西洋料理の普及に伴って需要は拡大、1917年、カゴメ印の商品登録、1933にはトマトジュースを発売して成功している。戦後は、各地に工場を建設して消費ブームにのって売り上げを伸ばし、野菜ジュース、ケチャップなどの生産で全国ブランドを確立している。近年では、全国8ケ所に直営農園を所有しており、そこで作られたトマトは、スーパーでも販売されるという農産企業の面も持つ[5]。このうち農園と工場がある長野県諏訪郡富士見町には、隣接地にテーマパーク「カゴメ野菜生活ファーム富士見」も開設している。「現在、自然を、おいしく、楽しく」をブランド・ステートメントとする会社として、各種の食品を市場に投入している。

近年では、全国8ケ所に直営農園を所有しており、そこで作られたトマトは、スーパーでも販売されるという農産企業の面も持つ[5]。このうち農園と工場がある長野県諏訪郡富士見町には、隣接地にテーマパーク「カゴメ野菜生活ファーム富士見」も開設している。「現在、自然を、おいしく、楽しく」をブランド・ステートメントとする会社として、各種の食品を市場に投入している。・参照:カゴメ – Wikipedia
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♣ スパイス展示館(S&B)
所在地:東京都板橋区宮本町 38-8 Tel. 03-3558-5531 (一般には非公開)
HP: https://www.sbfoods.co.jp/sbsoken/tenjikan


→ エスビー食品グループ従業員を対象に設立した研修施設兼展示館。スパイスやハーブの未来を考えエスビー食品の歴史と伝統・創業者の想いを伝承するため設けられたという。創業から100年間の企業・商品の変遷や商品開発エピソードの展示、スパイス&ハーブ基礎情報や香り体験コンテンツなどの施設を備えている。残念ながら一般非公開。
・参考:非公開の社員向け施設「スパイス展示館」に潜入|@DIME アットダイムhttps://dime.jp/genre/1542242/



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♣ 製粉ミュージアム(日清製粉)
所在地:群馬県館林市 栄町6-1 Tel.0276-71-2000
HP: https://www.nisshin.com/museum/main.html


→ 日清製粉グループの世界的にも珍しい製粉をテーマにしたミュージアム。本館と新館があり、新館では、最新の製粉技術をわかりやすく解説、小麦や小麦粉に関する様々な知識を学ぶことができる。本館では、時代を追って日清製粉の創業の歩みを紹介、建物は創業期より事務所として使われていたもので、近代産業遺産にも指定されている。ここでは明治の機械製粉黎明期の様子から最新の製粉テクノロジーまで、製粉にまつわる幅広い知識を集約紹介している。



新館展示の中身をみると、企業歴史ギャラリー、正田貞一郎ギャラリー、創業期ロール機、アーカイブがあり、新館では、新旧ロール機展示、製粉工場パノラマシアター、製粉技術のいま、小麦研究所、大型プロジェクター映像が備えられている。
ちなみに、日清製粉は群馬県館林市で日本初の機械製粉を行った「館林製粉株式会社」を前身とする企業。製粉分野では日本国内最大であり、ニップン、昭和産業、日東富士製粉とともに製粉大手4社を構成している。ミュージアムでは、この日清製粉の創業から事業発展の過程を展示で詳しく紹介している。この経過も興味深い。また、
<日清製粉の創業と展開>


→ 日清製粉の創業者は正田貞一郎氏で、生家正田家は群馬県館林の米穀商と醤油醸造を経営する裕福な家柄であった。明治になり、正田家の事業を引き継いだ貞一郎は、これまでとは別の事業を起こすことを決意、地元で産出される小麦の将来性に着目して製粉業を興すことにした。それまでの製粉業界では「水車」を用いた製粉が主流であったが、貞一郎は「動力機械」を活用する近代的な製粉事業を開始する。こうして、1900年(明治33年)に「館林製粉株式会社」が誕生する。機械式製粉業には莫大な資金を必要としたが、正田家の財力を背景に対外援助も得てなんとか事業を開始できたという。翌年、小麦粉の原料は、佐野・石岡・土浦・水戸などの周辺産地から買い付けを実施、完成した小麦粉は「製麺用」として供給している。当時の麺需要の増大、要東武鉄道の開通もあり市場を事業は順調に滑り出したとされる。



一方、市場を全国に広げることを目指して、当時営業不調となっていた製粉会社「旧日清製粉」を合併、1908年には、企業合併を図り社名を館林製粉から「日清製粉」と改めている。また、当初から建設を進めていた横浜工場が完成、1909年には需要拡大も受け生産能力は900万バーレルに引き上げられている。また、1918年には、横浜工場内に化学研究所を開設、 化学研究の一環でグルテン検出する方法を開発したほか、原料小麦の調査も進めるなどして品質向上を図っている。そして、1919年には横浜工場内で食パンの量産を開始、「東京製パン株式会社」も設立している。これにより事業の基礎が出来上がったことになる。ミュージアムの歴史ゾーンでは、これら創業から事業の基礎を築くまでの過程を、数々の書類、装備機械、年譜などで詳しく展示解説している。
また、製粉ミュージアムのある館林には、日清製粉事業の基盤となった正田醤油と正田家成立の記念館「正田醤油記念館が」があり、これについてもここで触れておく。
・参考:特別企画展「正田貞一郎展」https://www.nisshin.com/museum/teiichiro_shoda/
・参考:館林が発祥!日清製粉「製粉ミュージアム」タイムズクラブhttps://www.timesclub.jp/sp/tanomachi_ex/gunma/tatebayashi/001.html
・参考:製粉ミュージアム- ふじ・ふじブログhttps://fujisannoblog.com/post-10933/
・参考:日清製粉 – Wikipedia
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♣ 正田醤油正田記念館
所在地:群馬県館林市栄町3-1 Tel. 0276-74-8100
HP: https://www.shoda.co.jp/facility/kinenkan
・参考:正田醤油正田記念館 文化遺産オンラインhttps://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/139578
・参考:正田醤油株式会社| 施設案内 |正田記念館見学 https://www.shoda.co.jp/facility/kinenkan


→ 正田記念館は、嘉永6年(1853年)に居宅・店舗として2代正田文右衛門が創建した建物を記念館としたもの。明治6年(1873年)、江戸時代から続く米穀商「米文」を3代正田文右衛門が引継ぎ、将来性あるとみた醤油醸造業へと転身、正田醤油として発展させた。以来、建物は(1986年まで本社屋として使用され、現在は登録有形文化財に指定されている。「正田記念館」では、正田家300年の家系図に始まり、創業当時の醸造道具や昭和初期のポスターなど、江戸時代から明治、大正、昭和にかけての記念品を数多く陳列、正田300年の歴史を詳しく記録している。



この記念館は、同時に、現日清製粉の創業者である日清製粉の創業者正田貞一郎氏の生まれた正田家のルーツを示すものとなっている。ちなみに、正田貞一郎氏は上皇后となった美智子様の祖父に当たる。
・参照:https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20231030/se1/00m/020/003000d
・参照:里沼(SATO-NUMA)|日本遺産ポータルサイトhttps://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story070/
・参照::会社概要・沿革 正田醤油株式会社https://www.shoda.co.jp/corpo/profile
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♣ 世界食文化博物館(日本食研)
所在地:愛媛県今治市富田新港1丁目3番地 Tel.0898-47-2281
HP: https://www.nihonshokken.co.jp/factory-tour.htm


→ 日本食研ホールディングス(株)の愛媛本社敷地内にある食をテーマにした博物館。KO宮殿工場、世界食文化博物館、日本食研歴史館、日本食研商品展示館の4か所からなり、工場見学とセットになった見学施設となっている。宮殿食文化博物館(「KO宮殿工場」)は、オーストリアの首都ウィーンにあるベルベデーレ宮殿をモチーフにして作られた豪華なもの。日本食研の調味料の製造工程も見学できる。主な展示品としては、中世ヨーロッパを代表するパプスブルグ家の宮延晩餐会料理の再現模型、三大香辛料原木の模型、世界24カ国王室御用達品、世界61カ国602種類の調味料、世界99カ国196種類の料理模型、世界の食事道具250点などがある。 ちなみに、日本食研は、1971年に大沢一彦現会長ら6名で畜産加工研究所として創業した会社。業務用のたれの出荷量では国内シェア約50%でトップの売上を誇っている。



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♣ UCCコーヒー博物館
所在地: 神戸市中央区港島中町6丁目6-2 Tel.078-302-8880
HP: https://www.ucc.co.jp/museum/


→ 日本で唯一のコーヒーのみをテーマにした博物館。UCC上島珈琲が神戸ポートアイランド博覧会に出展した施設を基に「UCCコーヒー博物館」として1981年に開設した。その後、コーヒー文化発祥のイスラム教のモスクを模した外観に変更、コーヒー学の確立とコーヒー文化の普及を目的に掲げて1987年にリニューアルオープンした。コーヒーを起源、栽培、流通、加工、文化、情報の6つのテーマに分け、わかりやすく展示している。 特別展示室では「 UCCヒストリー」コーナーもあり、上島珈琲の沿革も記されている。また博物館に併設されている喫茶室「コーヒーロード」ではターキッシュ・コーヒーなど、日本ではここでしか味わえない珍しいコーヒーも提供している。
ちなみに、博物館を運営するUCC上島珈琲(呼称のUCCは”Ueshima Coffee Co.,Ltd.”の頭文字に由来)は神戸市に本社を置くコーヒーを中心とした飲料・食品メーカー。この背景は次のようである。



<UCC上島珈琲の沿革>


UCC上島珈琲は、上島忠雄が、1933年にコーヒーを中心とした食品飲料を扱う上島商店を創業したのがはじまり。1951年に「上島珈琲株式会社」を創立、1958年にはUCCコーヒーショップ」を1号店博多に開店している。発足以来、レギュラーコーヒーのみを扱ってきたが、1969年に世界初のミルク入り缶コーヒー「UCCコーヒーミルク入り」を発売したことで、その名を知られるようになった。1970年には、日本で初めて真空包装レギュラーコーヒーの製造を開始している。現在、自社のコーヒー農園を各地に展開しており、1981年にジャマイカでブルーマウンテンの農園を開設。1989年にはハワイ島でコナコーヒーの農園を開設させた。他にも1995年にはインドネシアスマトラ島でマンデリンの農園を開設するなど、世界的規模でコーヒーを扱っている。




・参照UCC上島珈琲株式会社 | 沿革https://www.ucc.co.jp/company/history/
・参照:UCCコーヒー博物館 – Wikipedia
・参照:UCCコーヒー博物館とは?| Coffeemecca https://coffeemecca.jp/business/13644
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♣ あずきミュージアム
所在地:兵庫県姫路市阿保甲611番地の1 Tel.079-282-2380
HP: (https://www.gozasoro.co.jp/azukimuseum)


→ 地元で「回転焼の老舗」として知られる和菓子メーカー御座候が、アメの主原料であるアズキの文化の伝承と創造活動の拠点とすべく2009年に開設した企業博物館。「あずき文化」を伝えるため、アズキの原産地である照葉樹林帯をイメージした里山庭園と一体で設計されていて興味深い。外壁をアズキ色に施された博物館の内部は、各階に跨って展示室が配置され、吹き抜けの展示室に置かれた実物10倍大の模型「10倍アズキ」を中心に、同心円状の回遊動線が設けられている。 この博物館は、2013年、日本展示学会賞作品賞を受賞している。



・参照:あずきミュージアム – Wikipedia
・参考:世界初の「あずきミュージアム」へ出かけようhttps://article.yahoo.co.jp/detail/e84038fb631691f5e1a9d24e850e742669a35390
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♣ ふじのくに茶の都ミュージアム(旧:お茶の郷博物館)
所在地:静岡県島田市金谷富士見町3053番地 Tel. 0547-46-5588
HP:https://tea-museum.jp


→ 世界と日本のお茶の世界を紹介する珍しい「お茶」の博物館。多彩で豊かなお茶の世界を再現している。常設展では、お茶の起源と世界へのお茶の広がりや日本及び静岡のお茶について展示、お茶の産業、文化、歴史、民俗などを実物資料だけでなく映像や実演によって分かりやすく紹介している。世界のお茶、日本のお茶の幕開け、茶の都しずおかのあゆみ、茶の都しずおかの誇り、お茶の新時代といったテーマでの展示である。このほか企画展の展示もあり2024年では「絵画資料からみるお茶」が催された。



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♣ 茨城県きのこ博士館(那珂市) )
所在地:茨城県那珂市戸4603 Tel.029-297-0198
HP: (https://www.ibaraki.biz/kinoko.html


→ 「きのこ」や「植物」たちがつくる「不思議なふしぎな森の世界」を再現する珍しい植物博物館園。きのこや山菜、うるし、竹などの種類や形態はもちろん、人との係わりから森林の役割まで、楽しみながら学べる施設として平成10年に開館した。幻想的な雰囲気の楽しめる館内には、8つの展示室があり、映像や模型などで「きのこ」についてわかりやすく展示してある。


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♣ 壱番屋記念館(カレーチェーン)

所在地:愛知県清須市西枇杷島町末広31 Tel. 0586-76-7545

→ 国内に1200店、海外に200店を数えるカレー専門チェーン店で知られる「CoCo一番館」の創設と発展の歴史を伝える記念館。歴代のユニフォーム、主要店舗の写真などを展示。写真はリニューアルされた後の第1号店の西枇杷島店、右隣に「壱番屋記念館」
・参照:(https://www.ichibanya.co.jp/comp/fresh/assets/include/break-commemoration.html)
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♣ 宇治・上林記念館(お茶)

所在地:宇治市宇治妙楽38番地 Tel.0774-22-2509
HP: (https://www.shunsho.co.jp/facilities/

→ 宇治茶の知られる老舗「上林春松家」に伝わる歴史資料を公開するお茶の記念館。禁裡・幕府や大名家に茶を運んだ呂宋壺や豊臣秀吉の書状などを展示している。四百五十年の歴史を誇る上林春松家は「御物御茶師」として幕府御用のお茶を作るための茶園管理、製造・精製、そして御物茶壺に葉茶(碾茶)を詰める茶詰めという仕事に従事。この歴史を刻む数々の品を所蔵している。


・参照:上林春松本店https://www.shunsho.co.jp/chashi/
・参照:上林春松本店https://www.shunsho.co.jp/facilities/
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♣ 胡麻の郷 (ごま製品)
所在地:岐阜県不破郡関ヶ原町玉1668-10 Tel.0584-43-0073
HP: https://www.shinsei-ip.ne.jp/goma/museum.html
・参考:岐阜の旅ガイドhttps://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_6132.html



→ 胡麻の郷は、胡麻製品の製造工場に併設したテーマパークで、家族連れの見学、観光博物館。胡麻の歴史や起源、製法、世界の“ごま文化”など胡麻に関する情報を提供している。ゴマを使った食品やお菓子などを豊富にそろえた展示もある。
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♣ 男爵資料館(食品・ジャガイモ)
所在地:北海道北斗市当別4丁目3-1 Tel.0138-75-2894
HP: https://www.northerncross.co.jp/bunkashigen/parts/846.html)


→「男爵いも」の生みの親「川田龍吉男爵」の農場跡地を利用した資料館。1900年代アメリカ農場風景が感じられる西洋式木製のサイロや牛舎などの建物を利用している。
館内には新しもの好きなハイカラ男爵川田が明治~大正時代に欧米より取り寄せた珍しい品々を約5,000点展示している。1910年代の米国製トラクター、グレンドリル、中でも日本最古の車「ロコモビル蒸気自動車」(日本で当館だけが所有)は非常に貴重なものといわれる。



<男爵いもの誕生>



日本銀行総裁川田小一郎(男爵)の長男だった川田龍吉は、明治39年、函館ドック会社専務取締役として北海道へ渡った後、ドックの仕事のかたわら、七飯村(現七飯町)に10数町歩の農地を買い農場を開設した。ここで様々な品種の馬鈴薯を試作したが、米国「バーバンク種苗会社」より輸入した「アイリッシュ・コブラー」が早熟かつ病害虫に強い品種であることを確認、その普及を図った。これが後に「男爵」と名づけられ、北海道はもとより日本全国で責重な品種となり「男爵薯」の誕生となった。
・参照:川田 龍吉〜函館ゆかりの人物伝 https://www.zaidan-hakodate.com/jimbutsu/02_ka/02-kawada.html
・参照:ジャガイモ博物館、記念碑,川田男爵 https://potato-museum.jrt.gr.jp/album.html
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♣ 揖保乃糸・そうめんの里
所在地:兵庫県たつの市神岡町奥村56番地 Tel..0791-65-9000
HP: https://www.ibonoito.or.jp


→ 播磨を代表する伝統産業手延べそうめん「揖保乃糸」のの歴史を学びながら、そうめんの味わいや製造工程を体験できる。明治期のそうめん造りの様子を描いたエントランスの模型やシアターで製造工程を見学できる。


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(水産物、水産加工品などの資料館)
♣ 水産振興資料館(豊海おさかなミュージアム) )
所在地:東京都中央区豊海町5番1号 豊海センタービル7階 Tel.03-3533-8111
HP: (https://lib.suisan-shinkou.or.jp/shiryokan/


→ 東京水産振興会が60年以上の事業のなかで蓄積してきた膨大な水産関連資料の一部を閲覧できる。魚や漁業、海に関する映像や情報を紹介する常設展と、月に1回程度入れ替えを行って旬の魚などを紹介する特別展示、食育セミナーやイベントを通じて水産の情報や魅力を発信している。Web版解説ノートも提供されており魚に関する情報提供を広くおこなっている。



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♣ ニッスイ・パイオニア館
所在地:北九州市戸畑区銀座2-6-7 ニッスイ戸畑ビル1F Tel.093-541-4151
HP: (https://www.gururich-kitaq.com/spot/nissui-pioneer-museum)


→ トロール漁船から始まったニッスイと戸畑港の歴史を記す博物資料館で、1911年の創業から100年を機に開設された。水産に関連する装舵輪、無線設備、航海灯、漁網など多数展示している。「ニッスイ」と言えば、冷凍食品で有名だが、水産資源の有効活用をめざし様々な事業に取り組んでおり、その歴史的資料や企業理念などを詳しく紹介している。「歴史展示室」にある世界の有用魚種350種を網羅した「日本水産漁譜」は、海洋生物を微細にわたり正確に描き着色したもので必見。「船の展示室」には、船員の訓練用操船シュミレーターが設置され、船の操縦も体験できる。


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♣ サーモンミュージアム(マルハニチロ)
所在地:函館市五稜郭町37番8号 Tel.0138-23-5480
HP: (https://www.maruha-nichiro.co.jp/salmon/)


→ マルハニチロは、1880年に創業した遠洋漁業・捕鯨・水産加工大手のマルハ(旧・大洋漁業)と1906年に創業の北洋漁業・水産加工大手のニチロ(旧・日魯漁業)を起源とし、2014年に両者が合併して誕生した水産加工会社。このマルハニチロが開設した「鮭の漁業」、「鮭と食」、「鮭と文化」、「鮭と環境」など鮭漁業に関するバーチャル博物館。サケマス図鑑、サケと食、サケと文化、サケの漁業、サケと環境などの資料を提供している。サケと食では、サケの加工、食材、栄養、ごちそうレシピなどの有用情報が盛られている。サケの漁業(サケ漁の歴史)では、古代からの鮭漁業の変遷が解説されていて興味深い。



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♣ 鈴廣かまぼこ博物館 (小田原)
所在地:神奈川県小田原市風祭245 Tel. 0120-07-4547
HP: https://www.kamaboko.com/museum/)


→ 鈴廣かまぼこ博物館は、かまぼこの歴史や特色、素材や栄養のことなど学べる博物館。「かまぼこ手づくり体験教室」をはじめ、ガラス越しにかまぼこ職人たちの熟練の技を見られる「見る工場」、かまぼこの歴史・栄養について学べる「かまぼこ百科」、「かまぼこの科学」などの展示のほか、「かまぼこ板絵美術館」でかまぼこ板をキャンバスにしたユニークなアート作品も展示している。


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(家庭食品の博物館 了)
