はじめに
―情報と知識、社会文化の担い手としての紙文化をみる博物館紹介ー

有史以来、紙は情報と知識の伝達手段として、また、便利な生活材料として社会文化の発展に重要な役割を果たしてきた。歴史における紙技術の伝播や発展も興味深い。こういったことを実感させてくれる博物館は日本に数多い。特に、日本の伝統工芸の一つとなっている和紙は、各地の地場産業として歴史的にも多様な形で発展してきている。このセクションでは、明治以降急速に発展した印刷の受け皿となった西洋紙と共に、日本独自の和紙に関する博物資料館を中心に紹介することとする。
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♣ 東京・王子の「紙の博物館」
所在地:東京都北区王子 1-1-3 Tel. 03-3916-2320
HP: (https://papermuseum.jp/ja/)


→「紙の博物館」は、日本の洋紙発祥の地、東京・王子に開設された「紙」に関する世界有数の紙専門の博物館である。紙の製造工程、種類や用途、紙の歴史、紙の工芸品、歴史的資料や生活用品などを総合的に展示している。博物館では、世界史的な視点での「紙」の歴史とその社会文化的なインパクト、日本で独自の発展を遂げた「和紙」の歴史や製法、近年の製紙産業の成立と発展の歴史、現代の紙の多様な形態や役割などを詳しく紹介している。当初、明治初期の製紙会社「抄紙会社」(後の王子製紙)の歴史史料を展示する「製紙記念館」であったが、1998年、施設の大幅な拡張整備を行い、現在の「紙の博物館」となったもの。紙の文化的な役割、近代文明発展の担い手となっている紙の存在について、改めて知ることのできる貴重な博物館であろう。



館内は、多様な美術品や記念資料を展示するエントランスホール、現代日本の製紙産業の現状や機械・原料・製品などを紹介する「現代の製紙産業コーナー」、紙の性質や製造過程を紹介する「紙の教室」、内外の紙の歴史、特に、和紙の技術発展について展示する「紙の歴史」コーナーとなっている。また、日本の製紙産業の成立を象徴する歴史記念物を集めた展示コーナーも設けられている。


このうち最も印象的なのは、和紙の歴史を含めた「歴史展示」である。「現代の製紙産業」で見られた産業機械や紙パルプの加工工程、古紙のリサイクル、用紙以外の紙製品の多様さにも驚かされる。また、館内には、研修室や図書館なども併設されていて、紙づくりの実習もできるなど学習の場としても使用されることも多いという。
・参照:東京・王子の「紙の博物館」訪問 https://igsforum.com/visit-paper-museum-in-oji-tokyo-j/
・参考:紙の博物館 – 見どころ、アクセス & 周辺情報 | GOOD LUCK TRIP (gltjp.com) https://www.gltjp.com/ja/directory/item/14088/
♣ 小津史料館)
所在地:東京都中央区日本橋本町3-6-2 小津本館ビル Tel.03-3662-1184
HP: (https://www.ozuwashi.net/archives.html


→ 江戸時代から続く和紙の老舗・小津の様々な和紙製品の展示を行うと共に、日本の紙業に関わる文書類を展示している。和紙は1000年以上の歴史を持つ日本の誇る伝統産業工芸品の一つである。そのしなやかさと美しさ、強靱性、長期保存性から,広く文書、絵画、障子襖などの建具、工芸作品の素材として長く愛用されてきた。現在、紙需要の多くは大規模製紙業による用紙・印刷用紙に移っているが、和紙も様々なスタイルの工芸素材として好まれ、その種類と利用範囲は驚くほど広い。このことを強く印象づけてくれる資料館が小津和紙の「小津史料館」である。


この施設は和紙メーカー「小津商店」のショウルームを兼ねるほか、和紙の魅力、多様さ、地域産業としての重要性、和紙製法の紹介などを幅広い展示活動を行っている。また、江戸時代から続く老舗企業「小津」の成長を跡づける歴史資料も数多く見られ、魅力ある資料館となっている。展示資料の中に示された松坂商人のルーツや紙のエピソードなども魅力の一つである。
参照:東京・日本橋の「小津史料館」を訪ねる(https://igsforum.com/visit-ozu-washi-history-museum/)
・参考:小津330年のあゆみ https://www.ozuwashi.net/330/
・参考:小津和紙 – Wikipedia
♣ 越前和紙の里 (紙の文化博物館)
所在地:福井県越前市新在家町8-44 Tel. 0778-42-1363
HP: http://www.echizenwashi.jp/


→ 「越前和紙の里」は、『紙の文化博物館』『卯立の工芸館』『パピルス館』を結ぶエリア全体からなる。この三つの施設はそれぞれ和紙をテーマにしており、和紙に関する知識を紹介しているほか越前和紙を作る工程や職人技の見学、紙漉きの体験もできる。「紙の文化博物館」では、越前和紙の歴史や技法、産地ならではの和紙作品を多数展示している。また、特別展では越前和紙の長い歴史を物語る古紙、道具などを展示、常設展で越前和紙の発祥や歴史について学ぶことができる。「パピルス館」では和紙づくり、「卯立の工芸館」では伝統工芸士が昔ながらの道具を使って紙を漉く様子を観察できる。



越前和紙は、福井県越前地方の岡太川流域で作られている和紙で日本三大和紙の一つ。この越前和紙は、種類、量ともに全国一位の和紙産地として知られる。主な原料は、植物の表皮の内皮である靭皮繊維で、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)である。特徴は、生成(きなり)色の優雅な美しさと高い品質といわれる。“越前奉書”と“越前鳥の子紙”は国の重要無形文化財にも指定されている。


・参照:越前和紙(えちぜんわし)の特徴 や歴史- KOGEI JAPANhttps://kogeijapan.com/locale/ja_JP/echizenwashi/
・参照:越前和紙 – Wikipedia
♣ 美濃和紙の里会館 (岐阜県)
所在地:岐阜県美濃市蕨生1851-3 Tel. 0575-34-8111
HP: https://www.city.mino.gifu.jp/minogami/


→ 美濃和紙は1300年以上の歴史と伝統を誇る。繊細できめ細やかな風合いを持ち、美しく丈夫な和紙作品が特徴といわれる。丹念に漉かれる一枚一枚は優れた自然環境と卓越した職人の技をみせている。歴史をたどれば、美濃和紙が全国的に広がったのは、室町時代に美濃国守護の土岐氏が地元産業を活性化させ製糸業を保護したことが大きい。また、土岐氏と交流のある公家や僧侶が好んで美濃和紙を使用し全国に知られるようになった。江戸時代には、美濃が専売制度によって障子紙として確固たる地位を築き、高級和紙として地位づけられた。しかし、一方で西洋紙の普及で和紙全体の需要は減少したが、美濃和紙は日用品として今も広く使われている。そして、1985年には経済産業省により伝統的工芸品に指定され、現代でも手漉き和紙は美濃和紙の古くからの伝統が受け継がれている。博物館は、これを強く印象づける内容となっている。



・参照:・美濃和紙(みのわし)の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN(コウゲイジャパン)https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/minowashi/
♣ 石州和紙会館 (島根県)
所在地:島根県浜田市三隅町古市場589 Tel. 0855- 32-4170
HP: https://www.sekishu-washikaikan.com/


→ 石州和紙(石州半紙)は島根県の西部(石見地方)の地域で漉かれている和紙、この技術伝承と普及、市場開発のため平成20年に設立されたのが石州和紙会館である。石州和紙(石州半紙)は原料に楮・三椏・雁皮の食物の靭皮繊維を使用し、補助材料としてネリに「トロロアオイ」の根の粘液を使い、竹簀や萱簀を桁にはさんで「流し漉き」により、つくられるのが特徴。かつて大阪商人は石州半紙を帳簿に用い、火災のときいち早く井戸に投げ込んで保存を図ったとも伝えられた貴重品であった。ユネスコ無形文化遺産の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表の中に「『本美濃紙』『細川紙』とともに、日本の手漉和紙技術として『石州半紙』も記載されている。しかし、明治時代に6,000軒を超す事業所が存在していたと伝えられるが、年々減少傾向で、現在ではごく少数となっている。こうした背景を受け、この会館も開館されるなど石州和紙の普及を図っている。和紙会館の工房内では、石州和紙製造の全工程の作業ができるほか、紙漉き体験もでき、展示室では、様々な商品を一堂に展示するなど地域と密着した施設となっている。



・参照:石州和紙(せきしゅうわし)の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN(コウゲイジャパン)(https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/syoko/sangyo/sanhin_ikusei/bussankan/)
・参考:島根県物産観光館:島根県松江市殿町191島根ふるさと館内 Tel. 0852-22-5758 (https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/syoko/sangyo/sanhin_ikusei/bussankan/)
・参考:石州和紙協同組合(伝統的工芸品指定の石州和紙の製造)https://sekishu.jp/
♣ いの町紙の博物館 (土佐和紙伝統産業会館)
所在地:高知県吾川郡いの町幸町110-1 Tel. 088-893-0886
HP: https://kamihaku.com/


→ 伝統的工芸品「土佐和紙」の振興を図るため1985年に開館した和紙博物館。常設展示室では、和紙の歴史と文化、原料・用具などを展示、手すき実演・体験コーナー、販売コーナーも備えている。別の展示室は、文化活動の発表の場や国際的な展覧会、企画展・特別展なども開催している。
土佐和紙は、高知県土佐市や、いの町周辺で作られている和紙で、過去には、財布や薬入れ、提灯などに使われていたが、現在ではふすまやちぎり絵、お菓子の包装など幅広い用途で使用されている。さらには、日本の書籍や世界の絵画の修正に使用されるなど国内だけでなく、海外でも評価の高い和紙となっている。土佐和紙の特徴は、種類が豊富であるということと、他の和紙と比べて薄くて丈夫であるといわれている。


参照:土佐和紙(とさわし)の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tosawashi/)
♣ 埼玉伝統工芸会館 (細川紙) (saitama.lg.jp)
埼玉県比企郡小川町大字小川1220 Tel. 0493-72-1220
HP: https://www.pref.saitama.lg.jp/shisetsu/hakubutsukan/012.htm
参考 ♣ 小川町和紙体験学習センター( 和紙のふるさと小川町)
埼玉県比企郡小川町大字小川226 Tel. 0493-72-7262
HP: https://www.town.ogawa.saitama.jp/0000003753.html


→ 「伝統工芸会館」は、伝統的手工芸品20産地・30品目を展示する資料館。館内には伝統的手工芸品の一つ「小川和紙」の体験ができる和紙工房があり、様々な種類の紙漉きができるほかユネスコ無形文化遺産登録の「細川紙」の実演も行っている。
「和紙体験学習センター」は、1936年に和紙の研究施設として埼玉県が建設し、平成11年に埼玉県から小川町に移管されたた施設で。 現在では手漉き体験ができるほか、和紙で作成された展示物なども見学することができる。ユネスコ重要無形文化遺産に登録された 「細川紙の技術」を大切に継承するセンターでもある。


ちなみに、「細川紙」は、埼玉県のほぼ中央部、秩父郡東秩父村及び比企郡小川町で伝承されている楮(こうぞ)を原料とした伝統的な手漉き和紙で、その製作技術は、1978年、国の重要無形文化財に指定されている。歴史をたずねると、宝亀5年(744年)の正倉院文書に“武蔵紙”の記録が見られることから、1300年以上の歴史があるものと考えられている。その後、中世における状況は明らかでないが、江戸時代になると、「大河原紙」あるいは「小川紙」と呼ばれた和紙の生産が始められ、「細川紙」の名称での製作もなされている。しかし、「細川」という地名は地元にはなく、当時、紀州・高野山麓の細川村(現在の和歌山県髙野町)で漉かれていた和紙の技法があり、これを導入し“細川”という名で大消費地・江戸向けに生産がはじめられたのではないかと信じられている。


・参照:細川紙 | 和紙のふるさと小川町https://www.town.ogawa.saitama.jp/0000000261.htm
・参照:細川紙 | 東秩父村観光サイト (higashichichibu.jp) http://www.higashichichibu.jp/hosokawashi
♣ 鳥取市あおや和紙工房
所在地:鳥取県気高郡青谷町山根313 Tel. 0857-86-6060
HP: https://www.tbz.or.jp/aoya-washi/


→ 「あおや和紙工房」は1200年を越える歴史があるといわれる因州和紙の鳥取市の工房である。現在、書道用紙、工芸紙、染色紙などに力を注ぎ、多くの和紙愛好家や書道家に愛用されている。敷地内にはこれらの和紙を紹介する展示ギャラリー、ショップ、手漉き和紙づくりができる体験工房がある。常設展示室は、古来の和紙の製法・道具、そして和紙の現在・未来などを展示、企画展示室と体験工房では、年間を通じて様々な企画展示を行うほか個展、学園祭などの作品展示も行っている。


「因州和紙」は旧因幡の国に当たる鳥取県の東部で作られている手すき和紙。特に書道や書画・水墨画に適した風合いのよい画仙用紙が有名で、全国でトップクラスの生産量を誇る。因州和紙の特徴は、天然の繊維が活かされた温かみのあるしなやかさといわれ、酸化しにくく自然な強さを持つことから実用性にも優れている。その高い品質から、「因州筆きれず」とも言われるほどである。現在は伝統的な技術を利用して立休形状のインテリア製品やパソコン用印刷紙など、時代の変化に対応した新製品を多く開発している。
・参照:因州和紙(いんしゅうわし)の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/inshuwashi/
♣ 紙のさと資料館(茨城県・西ノ内紙)
所在地:茨城県常陸大宮市舟生90 Tel. 0295-57-2252
HP: http://www.kaminosato.com



→ 「紙のさと資料館」は、1970年に以来、常陸大宮市舟生に店舗を構えて手漉き西ノ内紙専門店として営業している店舗であるが、同時に資料館としても活躍している。西ノ内紙は、上質な「那須楮」と、奥久慈の清らかな水により漉き出される和紙である。コウゾのみを原料として漉かれ、ミツマタやガンピなどが用いられないことに特徴がある。江戸時代には水戸藩第一の特産物となり、各方面で幅広く使われた。強靱で保存性に優れたその性質から、江戸では商人の大福帳として用いられたという。ここでは、350年の歴史をもつ西ノ内紙ができるまでのプロセスをわかりやすく紹介している。
・参照:西ノ内紙 – Wikipedia
♣ 烏山和紙会館・和紙の里(栃木県・福田製紙所)
所在地:栃木県那須烏山市中央2-6-8 Tel. 0287-82-2100
HP: https://www.fukudawashi.co.jp/pages/42/


→ 烏山和紙は、国の選択無形文化財である“程村紙(ほどむらし)“で知られる手漉き和紙。和紙会館ではその和紙の展示即売を行うほか、和紙に関する資料を見ることができる。宮内庁御用として宮中における歌会始の懐紙に選ばれているほか、450年の歴史を誇る「山あげ祭り」祭り≫にも烏山和紙が使われている。
・参照:烏山和紙会館|│福田製紙所│烏山和紙会館│和紙の里│和紙│手漉き│手作り│体験│教室│販売│栃木│那須烏山│ (fukudawashi.co.jp)
・参照:烏山和紙会館 「 とちぎの農村めぐり特集 | 栃木県農政部農村振興課
参照:https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/tochigi-nouson-meguri/archives/spot_winter/karasuyama_washi
♣ 安部栄四郎記念館 (島根県)
所在地:松江市八雲町東岩坂1754 Tel. 0852-54-1745
HP: https://izumomingeishi.com/abeeishirou/



→ 栄四郎は生涯をかけて収集した貴重な和紙の資料や民芸品の数々を保存し公開するために、1983年、八雲村に、「安部栄四郎記念館」を設立した。また、和紙技術者の育成のためその付属施設として「手漉き和紙伝承所」も開設している。「和紙を千年先へ残す・・・」思いを育みつつ“出雲民芸紙”に触れる場所となるよう期待することが創設の趣旨であった。(記念館案内文より)
ここでは、人間国宝・安部榮四郎が築き上げた出雲民藝紙の紹介はもちろん、民藝運動を通して出会った仲間達の作品が展示されている。柳宗悦やバーナードリーチなど多くの民藝作家の作品をはじめ、交友の深かった棟方志功の作品なども展示させている。
♣ 西宮市立伝統工芸品館(名塩和紙学習館)
所在地:兵庫県西宮市名塩2丁目10-8 :Tel. 0797-61-0880
HP: https://anian-club.jp/spot/481/


→ 名塩雁皮紙は、兵庫県西宮市の塩瀬町名塩地区で製造される和紙(雁皮紙)とされる。原料はガンピ(雁皮)で、これに地元で産出する泥土を混ぜて漉くのが特徴である。名塩和紙学習館は、名塩の伝統産業「紙すき」を実習・体験できる施設。展示室は、名塩紙の歴史や紙すきの工程を説明するパネル、名塩紙が使われた京都二条城のふすま絵の写真のほか、簀桁すけたや帛きぬ、簀すなど、紙すきの道具類も展示している。
○参考:谷徳製紙所(兵庫県西宮市名塩2-2-23 HP: https://www.najiowashi.com/)
→現在も名塩雁皮紙を製作する製紙所。最盛期には「名塩千軒」と言われるほど紙漉きが盛んだった兵庫県西宮市の北部にある紙漉きの里、名塩(なじお)。 400年の歴史を持つ名塩紙を継承するのは、今は二軒で、そのうちの一軒が谷徳製紙所。
・参照:名塩紙 | 和紙 | 兵庫県 | 日本伝統文化振興機構(JTCO)
・参照:名塩雁皮紙 – Wikipedia
・参考:人間国宝の紙・名塩雁皮紙(間似合紙)のお話 https://www.tamakirakuzando.com/sub41.html
♣ 阿波和紙伝統産業会館
住所 徳島県吉野川市山川町字川東141 Tel. 0883-42-6120
HP: http://washi.awagami.or.jp/hall/event/eventlist.php


→ 阿波和紙は、徳島県吉野川市、那賀郡那賀町、三好市池田町で作られている和紙で、「流し漉き」や「溜め漉き」という技法で作られている和紙である。特徴は、手漉きならではの肌触りと、生成(きなり)の風合い、薄くても水に強くて破れにくい丈夫な紙質といわれる。また、徳島の伝統産業である藍染などの草木染を施したものや、麻や木材を混ぜて漉いたものなども多いという。幅広い用途に使われているようで、インクジェット用の和紙、針金を通したインテリア用の和紙、耐水性のある和紙などの新しい試みを取り入れた和紙の開発も盛んに行われている。この阿波和紙会館では、和紙の各種イベントや作品展、体験教室を開いて地元阿波和紙の普及に努めている。
・参照:阿波和紙の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/awawashi/
♣ 大洲和紙会館 (天神産紙工場)
所在地:喜多郡内子町平岡甲1240-1 Tel. 0893-44-2002
HP: https://www.iyokannet.jp/spot/617


→ 「大洲和紙」は、古くは平安時代から作られてきたといわれる和紙で、書道半紙、障子紙、凧紙、色和紙などとして広く利用され、国の伝統工芸品にも指定されている。特に有名なのは書道半紙で、薄くて漉きムラが少ないため、高級で使いやすい書道半紙として現在でも重宝されている。この大洲和紙会館は天神産紙工場の施設で、阿波和紙に触れることができるほか、工場では和紙の製造工程の見学や紙漉き体験などができる。
・参照:大洲和紙の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/ozuwashi/
♣ 五箇山和紙の里 道の駅「たいら」(五箇山)
住所 富山県東砺波郡平村東中江218 Tel. 0763-66-2403
HP: http://gokayama-washinosato.com/


→ 古くから五箇山の産業を支えてきた和紙づくりの伝統技法の継承と保存、復興を目的とした研究館。館内では、五箇山和紙の歴史資料をはじめ、和紙製品の販売、製造工程などの紹介や全国各地の有名和紙、パピルスをはじめとする世界の紙などを展示している。
♣ 内山手すき和紙体験の家

所在地:長野県下高井郡木島平村穂高1143-3 Tel. 0269-82-4151
HP: https://kamisukiya.com/
→ 内山紙は長野県の奥信濃地方で作られている和紙で、手漉きの内山紙は楮(こうぞ)100%を原料とし、通気性や通光性が優れ、強靭で保温力もあることで知られる。奥信濃地方は一晩で1メートル以上の雪が積もるほどの豪雪地帯のため、冬場には「雪さらし」という技法で繊維を漂白するために、日焼けしにくく長持ちする特徴がある。かつて戸籍台帳用紙としても長く使用され、太陽光をよく通す障子紙としても高い評価を得ている和紙である。 「内山手すき和紙体験の家」のある木島平村地域は、江戸時代より「内山紙」の発祥の地であった。ここでは、冬の間の農家の副業として盛んに漉かれていたが、現在では製作する農家が少なくなってしまった。しかし、この伝統技術を伝えていこうと昭和62年に設立したのがこの施設。現在、和紙づくりの体験施設として、木島平村の有志の手によって運営されている。
・参照:内山紙の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN)https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/uchiyamagami/
♣ 小国和紙生産組合

所在地:新潟県長岡市小国町小栗山145 Tel. 0258-41-9770
HP: https://www.oguniwashi.com/
→ 雪国の新潟県長岡市小国町で300年以上の歴史をもつ手漉き和紙を製作。和紙の原料である楮(コウゾ)から自家栽培を行い、冬季間の原料加工作業では、雪国ならではの雪を活用した伝統製法で真っ白な和紙を生産している。工房見学や紙漉きなどの体験も行なっている。
・参考:長岡市小国で和紙作りを体験 – 新潟文化物語 https://n-story.jp/exp-report/12/
・参考:和紙産地をたずねて(新潟県小国町)https://www.hm2.aitai.ne.jp/~row/kikou/nigata/oguni.html
♣ 和紙工芸館(豊田市小原和紙のふるさと展示館)

所在地:愛知県豊田市永太郎町216-1
HP: https://www.aichi-now.jp/spots/detail/212/
→「和紙工芸館」では和紙づくりを気軽に体験できます。豊田小原和紙工芸の魅力を存分に楽しむことができる美術館で、全国の和紙標本や個性豊かな和紙工芸作品、小原地区特有の美術工芸作品、そして豊田小原和紙工芸の創始者で、近代工芸の先駆者でもある藤井達吉翁の作品等を展示している。
・参考:小原和紙とは | 小原和紙工芸作家・加藤英治 https://horaikan-washi.art/eijikato/obarawashi
・参考:愛知県・小原和紙 http://www.tesukiwashi.jp/p/obara1.htm
・参考:和紙産地をたずねて(愛知県小原村) https://www.hm2.aitai.ne.jp/~row/kikou/obara/obara.html
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<参考資料>
*藤井達吉氏(近代工芸家)の「和紙の博物館」ブログを参照させていただいて掲載
和紙の博物館 (aitai.ne.jp) Ref: https://www.hm2.aitai.ne.jp/~row/index.html
・参考:和紙の年表
Ref. https://www.hm2.aitai.ne.jp/~row/history.html より

・参考:地図で見る全国の和紙の分布図
Ref. https://www.hm2.aitai.ne.jp/~row/washimap.html より

(和紙の項・了)