明治の産業近代化過程で最も重視された生糸と絹など製糸工業の歴史と技術、伝統産業の織物、染織などの産業史跡、博物館を紹介。
参考:蚕糸・織物関係の資料館・博物館・施設等( 農業生物資源研究所)https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/silkwave/silkmuseum/index.htm
♣ 富岡製糸場(史跡・世界遺産)
所在地:群馬県富岡市富岡1 Tel.0274-67-0075
HP: https://www.tomioka-silk.jp/_tomioka-silk-mill/
参考:https://igsforum.com/tomioka-silk-worldheritage-rejj/


→ 富岡製糸場は、明治5年(1872年)、明治期の主要な輸出品だった生糸の品質改善・生産性向上と技術指導者の育成を目指して官営模範工場として設立されたもの。フランスからの技術者を招き、洋式の繰糸器械を備えた近代的な製糸工場であった。その後、片倉製糸により工場は引き継がれ、その閉鎖後に貴重な明治期の姿生糸生産の姿を示す歴史遺産となり現在に至っている。2014年にはユネスコの世界遺産としても登録されている。


構内には、「明治五年」創業との銘板が配置されているほか、縦長の数棟の煉瓦建屋があり、それぞれ繭の保蔵倉庫、操糸棟、事務棟などとなっている。そのほか外国人技師の和洋折衷の木造の宿舎、応接場、診療所なのが構内に点在している。これら建物全体は、明治の御雇外国人プリューナと日本人技術者が設計・建築したもので、木質構造に煉瓦を組み合わせた初期西洋式建築の代表で、国宝にも指定されている。


現在、この建物、工場跡の内部が公開されており、当時の工場内の様子や作業の有様がパネルや実物で紹介されている。江戸期までの小規模な個別作業と異なって、西洋式生糸生産方式では、大勢の工員(女工)一斉に機械に張り付いて集団作業を行っていた様子がうかがえる。
♣ 片倉シルク記念館(熊谷市)
所在地:埼玉県熊谷市本石2丁目135番地 Tel.048-522-4316
HP: (https://www.katakura.co.jp/company/memorial/)
参考:片倉工業と富岡製糸場が歩んだ歴史 ― https://www.katakura.co.jp/tomioka.htm


→ 片倉シルク記念館は、片倉工業の最後の製糸工場であった熊谷工場の繭倉庫を利用し、実際に工場で使われていた製糸機械や生糸ができるまでの過程、工場内での生活等を紹介している。明治6年、長野県諏訪郡川岸村(現岡谷市)で座繰製糸を開始した片倉は、蚕種の研究と繰糸機の改良に努め、最大62カ所の製糸工場を設けるまで拡大し、良質な生糸を世界に輸出していた。また、明治の官営模範工場であった富岡製糸場を引継ぎ、昭和62年まで操業、そこで培われた精神を熊谷工場へ引き継ぎ生産を行っていた。その後、需要の衰退により、平成6年、同社最後の工場となった熊谷工場が閉鎖され、片倉121年におよぶ製糸業の歴史を終えることとなる。しかし、日本の近代化を築きあげた製糸業の歴史やその役割、地域との関わりや先人たちが残した足跡を末永く保存し、後世に伝え続けるため当施設が設けられた。



♣ 岡谷蚕糸博物館
所在地:長野県岡谷市郷田1-4-8 Tel.0266-23-3489
HP: (https://silkfact.jp/


→ 製糸業が盛んであった岡谷の繭と生糸の歴史資料館。岡谷製糸業の歴史と共に、内部には、蚕種・養蚕・製糸およびこの取引に関係のある機械・機具類・記録資料類、その他標本類・研究文献などが収蔵展示されている。また、富岡製糸場で使われた日本最初のフランス式繰糸機(現在日本にある唯一)、洋式機械を日本人の手で改良した「諏訪式繰糸機」などがみられる。岡谷地方の製糸業は、明治から昭和初期にかけて飛躍的に発展、その生産高は、全国生産量の4分の1を占めたといわれる。その足跡を将来の発展に役立てたいとの考えから、昭和39年に岡谷市と諏訪製糸研究会が中心となって建設している。近くには、明治10年操業の製糸家林国蔵の旧宅を残した岡谷市指定文化財の旧林家住宅もある。



♣ シルク博物館(横浜)
所在地:横浜市中区山下町1番地(シルクセンター2階) Tel.045-641-0841
HP: (https://www.silkcenter-kbkk.jp/museum/)
参考:https://igsforum.com/visit-silk-museum-in-yokohama-rjj/ 横浜の「シルク博物館」を訪問


→ シルク博物館(横浜)は、横浜開港百年記念事業の一環で、神奈川県・横浜市・関係業界の協力で生糸の主要輸出基地だった横浜とシルクに関する歴史を軸に、生糸の生産と輸出に関する有様を伝える展示資料館。1959年3月、絹の貿易によって栄えたこの地、開港当初英国商社ジャーディン・マセソン商会(英一番館)のあった場所に開館している。ここでは、「かいこ」から製糸、染織など「絹ができるまで」の過程をはじめ、古代から現代に至るまでの絹服飾の移り変わりを見ることができる。また、蚕糸・絹業の変遷や 絹の染織工芸の名品、和洋にわたる現代の優れた絹製品の数々を展示している。



♣ 絹の道資料館(八王子市)
所在地:東京都八王子市鑓水989−2 Tel.042-676-4064
HP: (https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kankobunka/003/005/p015671.html)
参考:浜街道(絹の道)を八王子から横浜まで (kaidouarukitabi.com)

→ 明治期、上州、信越方面から横浜に向けての「生糸」の輸送ルートであった「絹の道」再現する史跡。幕末から明治にかけて生糸商いで活躍した「鑓水商人」が、当時どのように生糸を陸路苦労して輸出港横浜まで運んだかを偲ぶことができる。平成2年に豪商として知られる八木下要右衛門家の地屋敷跡を復元して資料館として開館。


♣ 駒ヶ根シルクミュージアム
アホ在地:長野県駒ヶ根市東伊那482番地(〒399-4321)
HP: https://komagane-silk.com/

→ 長野県駒ヶ根市では全国的に知られた組合製糸「龍水社」により盛んに生糸の生産を行ってきていたが、1997年、閉鎖を余儀なくされた。しかし、この地域の養蚕の文化遺産を何らかの形で後世に伝えようと2002年関係者の努力により記念館を設立。展示では、養蚕文化の歴史の伝承、都市と農村の交流を目指しカイコ、繭からの生糸作り、織りに関する一連の流れを一般にわかりやすく紹介している。また、「シルクの歴史を知る」コーナーでは、シルクの源流と世界への広がり、駒ヶ根の糸がどのようなルートで海外へ運ばれていったか、なども紹介されている。

(組合製糸で生まれたデザインに・・・)


♣ グンゼ博物苑
所在地:京都府綾部市青野町(〒623)Tel 0773-43-1050
HP: https://www.gunze.co.jp/gunzehakubutu/


→ 大阪の有力繊維メーカーの運営する博物記念施設。創業・発展の基礎となる何鹿郡(綾部)の蚕糸業の発展に尽くした郡是(グンゼ)の経営姿勢や歩みを中心に歴史的資料などを展示している。苑全対は、蔵のある広場(絹蔵、靴下蔵、莫大小蔵、集蔵、商蔵から構成)、グンゼ記念館、桑の苑から成っています。展示の中心となっている蔵のある広場の3つの蔵は、博物館・科学館の機能を果たしている。「集蔵」は、イベントなどに使用する多目的利用スペースで、「商蔵」は、博物苑全体のインフォメーションセンターになっている。「桑の苑」では世界各地の桑、約500品種、2,000本が栽培されていて訪問者を歓迎している。



♣ 西予市野村シルク博物館(西予市)
所在地:愛媛県西予市野村町野村8号177番地1(〒797-1212)Tel: 0894-72-3710
HP: https://www.city.seiyo.ehime.jp/miryoku/silkhakubutsukan/index


→このシルク博物館は、愛媛県西予の「シル クの町」野村町の発展を、産業・経済の両面から支えた蚕糸業等にかかわる歴史的資料、まゆ・生糸 の生産に使用する機械、道具類など貴重な資料を展示する博物館。実習室もあり、ろうけつ染めや草木染め、機織りなどの実践も行っている。伊予生糸は四国山系をその源とする水を使い、愛媛県産繭を多条繰糸機を用いて低速で繰糸する特色があるという。
♣ 群馬県立日本絹の里
所在地:群馬県群馬郡群馬町大字金古888番地の1(〒370-3511)Tel. 027-360-6300
HP: https://www.nippon-kinunosato.or.jp/


→ 日本絹の里は、繭や生糸に関する資料や群馬の絹製品などの展示する博物施設。伝統ある群馬県の蚕糸絹業の足跡と天然繊維である絹の素晴らしさを伝える。展示館では、群馬県蚕糸業の足跡、マルチメディアで発見!繭玉ワールド、蚕糸業をめぐる人々、シルクのできるまでの全工程を薄布に印刷した写真で紹介するコーナーなどもある。


♣ 前橋市蚕糸記念館(県指定重要文化財)
所在地:群馬県前橋市敷島町262番地(敷島公園バラ園内)(〒371-0036)
HP: https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/kyoiku/bunkazaihogo/gyomu/3/4/5122.html
参考:sanshipan.pdf (city.maebashi.gunma.jp)

→蚕糸記念館は、明治44年建築の国立原蚕種製造所前橋支所の本館を昭和56年に改めて博物館として開館したもの。明治末期の代表的な洋風木造建築物であり、群馬県の指定重要文化財に指定されている。館内に養蚕・製糸に関する用具・器械等を展示し、蚕糸業とともに歩んできた前橋の近代史をしのぶ記念館として一般公開している。


♣ 穂高町天蚕センター
所在地:長野県南安曇郡穂高町大字有明3618-4(〒399-8301)
HP: https://azumino-tensan.jp/center/center

→ 天蚕センターの館内には、天蚕に関する写真や飼育道具、天蚕糸や反物、天蚕糸で作られた着物や、天蚕糸を織り込んだ小物等が展示されている。江戸期から、有明村(現穂高町有明地方)では、野生の天蚕を採集して飼育が始められ、全盛期(明治20~30年)には、3000haで飼育されて(繭約800万粒)いた。その後、一時生産は絶えていたが、昭和48年(1973)に、町が飼育未経験の農家を説得して飼育が再開、平成15年度は、年間に5.4万粒の天産を生産しているという。訪問者は、この過程を見ることができる。


♣ 藤本蚕業歴史館(長野県)

所在地:長野県上田市上塩尻248(〒386-0042)Tel. 0268-24-2460
HP: https://www.mmdb.net/silknet/archive/ueda/page/A0008.html
→ 藤本蚕業歴史館は、長野県上田市にある蚕業の私立博物館。2009年、藤本工業株式会社が前身である藤本蚕業の社屋に開館。所蔵資料には蚕種製造に関する藤本家の古文書や製造器具などがある。
♣ 上垣守国養蚕記念館
所在地:兵庫県養父市大屋町蔵垣246-2 Tel. 079-669-1580HP: https://www.city.yabu.hyogo.jp/soshiki/kyoikuiinkai/shakaikyoiku/2_1/2/index.html
→ 但馬に養蚕業を普及させた先駆者、上垣守国を顕彰して建てられた記念館。昔の養蚕農家の暮らしを忠実に再現、江戸時代の『養蚕秘録』をはじめ、生糸や繭、養蚕に関する書物や蚕具を見ることができる。
♣ 絹糸紡績資料館 (信濃絹糸紡績)
所在地:長野県小県郡丸子町上丸子1078 シナノケンシ㈱内(〒386-0498)Tel 0268-41-1800HP: https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/silkwave/silkmuseum/NSinanok/sinanoks.htm
→ 大正7年(1918)年創立の信濃絹糸紡績株式会社の80周年記念に1998年に開設された資料館。絹糸紡績の歴史を伝える展示。
