♣ 旧集成館機械工場(尚古集成館)―史跡・世界遺産)
ー幕末に西欧技術の導入を試みた薩摩藩の足跡をみるー
(https://www.welcomekyushu.jp/world_heritage/spots/detail/3
鹿児島市吉野町9698-1 Tel.099-247-1511


→ 幕末に薩摩藩が西欧の工業技術習得のため作られた施設「集成館」の機械工場を復元したもの、内部には金属加工、船舶の修理・部品加工に使われたオランダの工作機械などを動体展示している。 日本が長く鎖国政策をとっていた江戸時代の末期、鹿児島の薩摩藩は、西日本の諸藩と同様、押し寄せる西欧の軍事・植民地化圧力を強く受けていた。このため薩摩君主島津斉彬は、これら脅威に対抗するため「集成館」という軍事・産業の近代化を図る事業を1850年代に開始する。これは、砲身を作るための製鉄鋳造、西洋様式の大型造船、綿紡績事業などの近代工場を作り上げることであった。
この施設群の遺跡が現在でも鹿児島に残っており、2015年、日本の近代産業開発ルーツの一つとして「世界産業遺跡」に指定された。これら集成館関連遺跡は、鹿児島磯地区の「仙巌園」周辺に点在しており、反射炉跡、溶鉱炉跡、造船所跡、紡績所跡、尚古集成館、紡績所技師館などがこの対象となっている。特に、「尚古集成館」は、江戸末期の薩摩藩の産業近代化を目指した集成館事業の全体像を伝える貴重な資料館となっている。




(参考)⿅児島の世界産業遺産と薩摩藩「尚古集成館」を訪ねる https://igsforum.com/visit-kagoshima-shoko-m-jj/
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♣ 博物館明治村「旧鉄道寮新橋工場」(機械館)
―明治村の機械館では歴史的工作機械の展示がみられるー
(https://www.meijimura.com)
愛知県犬山市字内山1番地 Tel.0568-67-0314


→ この明治村内の「機械館」は「旧鉄道寮新橋工場」建屋を復元して設置されたもの。鉄道寮新橋工場は日本ではじめて鉄道が走った明治5年、機関車修復所として作られもので、日本の鉄道の発展を見る上で貴重な建造物として明治村に移設された。鉄道技術が全くなかった日本は、当初、すべての建設材料と工作機器をイギリスから輸入して施設を作ったといわれる。明治村では、この施設を近代建設技術の手本として位置づけると共に、内部に、日本の産業近代化の過程で使われていた動力機械、工作機械、繊維機械など多数の機械類を全国から集めて展示している。


例をあげれば、明治期の鉄道機関車、貨車の重量部品などを加工した「蒸気ハンマー」(1881年導入)、富岡製糸工場で原動機として使われていた「横形単気筒蒸気機関」(1873年輸入設置)、北海道小樽市の日和山燈台で使われた「霧信号用蒸気機関」(逓信省横浜製作所製1897年製)、日本人製作の最古の工作機械「“菊花御紋章付”平削り盤」(1879年製)、流体力学を利用したといわれる最初の国産揚水ポンプ「“ゐのくち式”両吸込渦巻ポンプ」(1912年製造)、初期の日本紡績業を支えた「紡毛ミュール精紡機」(英国製)や「リング精紡機」(米国製)、水車を使って紡績を行う「ガラ紡」紡績機(臥雲辰致の発明、明治初期)、金沢の上辰巳発電所で使われた「フランシス水車」(米国製1913年製)などが展示してある。



当初、産業用金属加工の技術のなかった日本が工作機械や発電機、蒸気機関などを西欧から輸入して各種産業発展の基礎を作ると共に、その製作技術を学んでいく中で、徐々に独自の工夫を加えた機械を日本の国内で作りこれを普及させていった様子が浮かび上がってくる。
(参考)名古屋郊外の「明治村・機械館」を訪ねる | Asia Japan Techno-Museum Forum Blog Info (igsforum.com) https://igsforum.com/meijimura-j/
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♣ 日本工業大学工業技術博物館―歴史史料―
ー日本の機械産業の発展基盤を展示物から確認できる博物館―
(https://museum.nit.ac.jp/about/outline/)
埼玉県南埼玉郡宮代町学園台4-1 Tel.0480- 33-7545


→ 明治時代以降現在までの日本の産業技術の発展に貢献した代表的な400点以上の工業機械類を展示。機械を中心とした日本のものづくりの展開がみられる。特に、工作機械の展示は豊富で工具の変遷や加工技術の進歩が確認できる。 博物館には、明治以降、昭和50年代頃までに輸入または国内製造された歴史的工作機が多数年代別種類別に展示されている。工作機械は、大きく分けて旋盤、ボール盤、フライス盤、研削・仕上盤、特殊加工機、そして複合工作機械としてのマシニングセンターなどに分類できる。
展示では、明治中期に使われた「手回し式旋盤」(池貝製作所作成の復元)、昭和初期のプラット&ホイットニー社『普通旋盤131NCHB』、フリードデッケル(ドイツ)の万能フライス盤(大正10年頃使用)、吉田鉄工所の『直立ポール盤』(1950年代)、シップ社(スイス)の『ジグ中くり盤3R形』、多機能工作機械類では、ケルニー社(米)「マシニングセンターEb形」(1970年代)、日立精工株式会社『マシニングセンターMBN-330形』(1970年代)など、歴史的な工作機械が数多く展示されている。


また、館内には、明治年代の機械加工町工場の復元もなされて博物館の呼び物の一つとなっている。工作機械のほかには、明治大正期に使われた各種織機、近年の発電用高性能ガスタービンの実証プラント(1987年、民間の技術研究協会が設計)、ガラス製水銀整流器(1961年日本電池)、そして、明治年間(1891)に使われた実際に動かしてみせる英国製蒸気機関車”Dub 2100型”など、機械産業の過去・現在を振り返ってみられる貴重な展示が並んでいる。日本の産業発展の姿を機械産業の視点から見るには最適の博物館となっている。なお、同博物館の所蔵する270点余は日本機械学会の「機械遺産」(2018)に指定されている。


(参考)日本工業大学の「工業技術博物館」を訪ねる | Asia Japan Techno-Museum Forum Blog Info (igsforum.com) https://igsforum.com/visit-the-industrial-technology-museum-of-n-i-of-tech-j/
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♣ 熊本大学工学部研究資料館(旧機械実験工場)
ー建物と共に重要文化財となっている大学研究資料館ー
(https://museum.kumamoto-u.ac.jp/facility_info/kogakubu_kenkyushiryokan/)
熊本市中央区黒髪2-39-1 Tel. 096-342-2864


→ 熊本高等工業学校の機械実験工場として1908(明治41)年竣工した施設。熊本大学に引き継がれ、1970(昭和45)年に新工場ができるまで実習施設として使用された。ここでは教官や技官により機械に関する種々の実験を通し技術開発に関する研究がなされ、学内や学外で使用される工作機械や実験装置の製作も行われていたとされる。館内には明治から大正期にかけて購入された極めて貴重な機械類、各種旋盤、平削盤、立削盤などの工作機械、各種測量機などが動態保存(動く状態で保存)されており、建物と共に重要文化財となっている。また、日本機械学会の機械遺産の認定も受けている。


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♣ 三共工作機械資料館 (三共製作所)
ー古典的な産業工作機械類を丹念に展示ー
(https://www.sankyo-seisakusho.co.jp/museum/museum.html)
静岡県菊川市本所2290 Tel. 0537−36−2231


→ 産業機械メーである三共製作所が2023年に設立した資料館。歴史的工作機械(旋盤、付リス盤、ボール盤など)や歴史的な測定器はじめ、モノを作る道具、機構模型、工作機械と自動車の歴史の展示などとなっており機械産業の歴史を展示物でたどることができる。これら展示コレクションは、三共が長年使用していたもの、他から寄贈や購入したものなど歴史的機械類200点余からなり、機械遺産認定にも認定されている。このうち工作機械の歴史展示では、18世紀末の産業革命以来の貴重な手動の木製旋盤から金属製旋盤、そして19世紀に大量生産に貢献した自動旋盤までの歩み、測定機器展示では、歴史的なノギスやマイクロメータなどが見られる。また、昭和初期に帝国発明協会研究所が製作した機構模型の展示もあり貴重である。



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