♣ 製鉄技術と金属加工の博物館(鉄と金属のものづくり)
日本の製造業の根幹となった製鉄のあゆみ、近代産業形成期に大きな役割を果たした鉱山開発、現代の“ものづくり”の基礎となった鍛冶技術、金属加工の歴史発展を示す博物館を紹介。特に、伝来の鍛冶、鋳物産業、金属加工の技術展開を取り上げる。
また、日本の製造業の根幹となる製鉄業の成り立ちと現代のものづくりの基本となる鉄加工技術を示す博物館を紹介する。
(たたら製鉄と鍛冶技術の博物館)
・和鋼博物館 (http://www.wakou-museum.gr.jp/)
島根県安来市安来町1058 Tel. 0854-23-2500



和鋼博物館は、日本の伝統的製鉄法「たたら」に関する日本唯一の総合博物館。1993年、「鉄の道文化圏」(安来市・雲南市・奥出雲町)内の文化館のひとつとして誕生している。元々は、日立製作所安来工場(現 日立金属)付属の展示施設であったが、「たたら製鉄」関連の文化遺産保持のため、新たな構想のもと安来市の博物館として開館したもの。館内は、種々の和鋼の製鉄用具の展示や映像、体験コーナーを通して、たたら製鉄とその歴史・流通、さらに各種匠技を紹介するとともに、企画展や講演会、様々なイベントを開催して“たたら”の知識普及に努めている。また、従来からの和鋼・たたらの調査・研究に関する事業を引継ぎ、発展させることも目指しているという。
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・菅谷たたら山内-鉄の歴史博物館・伝承館(鉄の歴史村) (http://www.tetsunorekishimura.or.jp/sdk)
島根県雲南市吉田町吉田892番地1 Tel.0854-74-0311

→ 「鉄の歴史博物館」は、日本古来のたたら製鉄の歴史や技術を解説している博物館である。ここでは「たたら」とその技法、そして鉄山経営と鍛冶集団の様子が詳しく紹介されている。博物館のある吉田地域で古くから原始的な「野だたら」による鉄づくりが行われていたが、江戸時代、新しい「永代だたら」がはじまり「高殿」という溶解炉が築かれており、「村下」(むらげ)と呼ばれる職人がこの作業を指揮したことが展示では記されている。また、鍛冶集団というテーマの展示では、鉄山師による「たたら製鉄」の記録や生活、鍛冶集団の活躍が紹介されていて、当時の製鉄のありようが示されている。

また、「菅谷たたら山内‐生活伝承館」では、吉田地区の繁栄を象徴する産業遺産「高殿」を軸に、たたら職人の技術と生活が紹介されている。
(島根県雲南市吉田町吉田892番地1 http://www.tetsunorekishimura.or.jp/sdk)
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・大板山たたら製鉄遺跡) (https://www.hagishi.com/search/detail.php?d=1100190)
萩市大字紫福10257-11 Tel.0838-25-3380

江戸時代末期、萩藩の洋式造船を支援したたたら製鉄の遺跡。発掘調査によって製鉄炉である高殿と呼ばれる施設などの生産遺構が残っていることが確認されている。元小屋・高殿・砂鉄掛取場・鉄池・鍛冶屋などの遺構がよく保存されており、建物跡などの遺構が露出した形で整備されている。(国指定史跡)
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・国友鉄砲ミュージアム(史跡) (https://kunitomo-teppo.jp/)
滋賀長浜市国友町職0749-62-1250 Tel.0749-62-1250



この博物館では、戦国から江戸時代にかけて鉄砲の生産地として栄えた国友の歴史に関する資料を数多く展示する。館内には、国友鍛冶の仕事場の様子や国友鉄砲の製作工程が映像や実物があり、江戸時代、鉄砲鍛冶として活躍し「反射望遠鏡」も製作した「国友一貫齋」の展示もみえる。日本に鉄砲が伝来し普及した歴史や開発された火縄銃の構造や製作技術を知る上で貴重な施設といってよいだろう。ちなみに、外国からの来訪者も多く、国友の歴史への関心と共に、手になじみやすく細工が良い、デザインが優れ、命中率が高いなど、国友火縄銃への評価も高いようだ。
(参考)国友鉄砲ミュージアムと国友一貫斎 (https://igsforum.com/2024/04/08/kunitomo-teppo-m-jj/)
・種子島鉄砲博物館(史跡)(鹿児島県) (https://www.kagobura.net/shop/shop.shtml?s=3519)

鹿児児島島県県西之表市市西之表 Tel.0997-23-3215
この博物館では、種子島の歴史・文化・自然などを広く紹介している。外観では、南蛮船を イメージした外観が目を引くが、1543年種子島に伝わったポルトガル銃や国産第1号の火縄銃、さらに国内外の旧式銃約100挺が展示されており、火縄銃の歴史や世界の鉄砲の様子が見学できまる
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・刀剣博物館(刀剣保存協会) (https://www.touken.or.jp/museum/
東京都墨田区横網1-12-9 Tel.03-6284-1000


→ 日本の刀鍛冶の技術を伝える貴重な刀剣類、刀装を所蔵公開。「たたら」と玉鋼の製作、作刀工程についても解説。日本刀は日本人の豊かな感性により武器が美術工芸品にまで昇華されたといわれる文化財で、千年を越えて大切に保存され、歴史的・文化的にもその果たした役割が大きい。博物館では、刀剣類、刀装、刀装具、甲胃、 金工賞料、古伝書等を多数所蔵し、その中には国の指定・認定物件も数多く含まれている。
・鉄の展示館(刀剣鍛冶)(長野県) (https://www.tetsu-museum.info/)
長野県埴科郡坂城町坂城6313-2 Tel. 0268-82-1128

坂城町は戦国時代の名将、葛尾城主村上義清の活躍した歴史の町であるが、昭和40年代、宮入行平刀匠が人間国宝に認定されたことを契機に、同氏の功績を顕彰するとともに、町の工業発展に大きく寄与した鉄の素材、加工技術の変遷など鉄に思いを馳せて、「鉄の展示館」が開館された。展示では、宮入氏の製作した刀剣はじめ、装身具、郷土作品などがある。
(製鉄の歴史を示す史跡・世界遺産)
・伊豆の「韮山反射炉跡」(世界遺産) (https://www.city.izunokuni.shizuoka.jp/hansyaro/sekaiisan/sekaiisann.html)
静岡県伊豆の国市中260-1 Tel.055-949-3450


幕末に築造された「反射炉」のうち炉形を残している貴重な史跡。蘭書により日本人技術者が造り上げた当時の日本の“ものづくり”の力が示されている。この史跡・韮山反射炉跡は、江戸幕府によって築造された日本最古の洋式製鉄溶解炉の一つ。幕末、外国艦隊の脅威が増す中、大砲を製作して軍事力を強化するため各地でつくられた。しかし、この炉跡がそのまま残っているのは、この山口萩と韮山反射炉のみ。特に、韮山反射炉は、実際に稼働していた姿が残る唯一の施設として重要視されている。このため、国の重要史跡として指定されているほか、ユネスコの「世界文化遺産」にも指定されている。ちなみに、反射炉製作は、たたらを中心とした古来の日本の製鉄法と大きく異なり、蘭学書によってのみ技術的背景を把握せねばならないという困難な事業であった。この意味でも、幕末の技術挑戦を示すモニュメントでもある。このため、観光対象としても注目され、反射炉の解説や建設の背景などを展示する「韮山反射炉ガイダンスセンター」もオープンし賑わいをみせている。また、近くには、この反射炉の建設に貢献した江川英龍の邸宅跡もある。
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・萩の「反射炉遺跡」(世界遺産) (https://www.city.hagi.lg.jp/site/sekaiisan/h6077.html)山口県萩市椿東4897-7 Tel.0838-25-3131


山口県萩市にある「萩反射炉跡」は、幕末、幕府同様、西日本の長州藩が、外国からの脅威に対処するため建設された大砲鋳造の金属溶解炉の遺構。この分野で先行していた佐賀藩から学び建設を計ったもので、現在、その煙突部が残されていて国の史跡に指定されている。萩反射炉は試作的に築造されたと考えられているが、西洋の科学技術導入への試行錯誤を象徴している遺構とされる。この酒の反射炉跡は、萩のほか韮山(伊豆)と旧集成館(鹿児島)にあるだけで貴重な産業遺産。世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産のひとつでもある。
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・釜石の「橋野高炉跡」(世界遺産) https://www5.pref.iwate.jp/~hp0252/hashino/history.html
岩手県釜石市橋野町第2地割15 Tel.0193-22-8846
→ 橋野鉱山の鉄鉱を使い伝統的な施工技術で建設された洋式高炉跡。江戸時代末期、大砲に適した銑鉄を製造するため作られた高炉の跡である。後に釜石製鉄所、田中製鉄所を経て官営八幡製鉄建設につながる製鉄業発祥の記念碑的な史跡である。

・旧八幡製鉄所の「東田第一高炉跡」(世界遺産) https://higashida-museumpark.jp/facility/higashidakouro.html
福岡県北九州市八幡東区東田2-3-12 Tel.093-582-2391
→ 「東田第一高炉跡」は、日本の近代的な製鉄事業の始まりを示す高炉第一号として明治34年に完成した貴重な高炉史跡。この「第一高炉」が、現在、日本初の鉄鋼一貫製鐵所「官営八幡製鉄所」のモニュメントとして保存されている。歴史をたどれば製鉄産業の振興は明治産業革命の中核の一つであった。この八幡製鉄の成功をきっかけとして日本の製鉄業は 飛躍的な発展を遂げることになる。「第一高炉」自体は幾度もの改修を経て今日に至っているが、建設当時の幾つかの遺構、旧本事務所、修繕工場、旧鍛冶工場などはそのまま残っており、当時の息吹を伝える歴史的建造物となっている。
・釜石「鉄の歴史館」 (https://kamaishi-kankou.jp/learn/tetsunorekishikan/) 岩手県釜石市大平町3丁目12番7 Tel.0193-24-2211


この「鉄の歴史館」は、日本と釜⽯の鉄造りの歴史を語る貴重な歴史館として知られる。江戸時代末期に築造された西洋式近代高炉の建設、この技術開発に貢献した大島高任、本格的な製鉄業の道を築いた(釜石)田中製鉄、その後の新日本製鉄釜石事業所の展開などの歴史を紹介している。展示はいくつかのブロックに分かれていて、「鉄と暮らし」、「鉄文化の黎明」、「近代製鉄の歴史」、「総合演出シアター」、「製鉄産業と釜石」などとなっている。このうちシアター「鉄を語る炎の世紀」は圧巻である。
(非鉄金属関係の鉱山開発の史跡資料館)
・日鉱記念館(JX金属) https://www.jx-nmm.com/museum/about/outline.html
茨城県日立市宮田町3585 Tel.0294-21-8411
→ 明治末、久原久之助が開発した日立鉱山事業(銅)の歴史を軸に、工業都市・日立が形成されている過程を紹介。
・別子銅山記念館 (https://besshidozan-museum.jp/)
愛媛県新居浜市角野新田町3-13 Tel.0897-41-2200
→ 住友グループ発展の基礎となった別子銅山開坑以来の歴史資料、技術、生活資料などを展示。
・古河足尾歴史館 (https://www.furukawakk.co.jp/ashio/ashio/)
栃木県日光市足尾町松原2825 Tel. 0288-93-0189
→ 明治の産業黎明期を画した足尾銅山(旧足尾鉱山)の開発、事業状況、古河財閥家の歴史を展示。
・足尾銅山記念館 (2025開館予定) ( https://www.furukawakk.co.jp/info/2023/20230313_post_48.html)
栃木県日光市足尾町掛水地内(古河機械金属社有地)予定地 Tel.03-6636-9501
・石見銀山資料館 (いも代官ミュージアム) ( https://igmuseum.jp/ )
島根県大田市大森町ハ51-1 Tel.0854-89-0846
→ 江戸時代から知られる石見銀山の歴史、文化を伝える
・佐渡金山展示資料館 ( https://www.sado-kinzan.com/facility/ )
新潟県佐渡市千種232 Tel.0259-63-3111
→ 江戸時代以降の佐渡金山の採掘、精錬、小判製造の作業工程を資源して展示、