まえがき

  各地を旅行していると “ものづくり”に関係する「産業博物館」が非常に多くあることを実感する。企業が設立したもの、公共機関、大学研究機関によるものなど形は様々であるが、いずれもが産業技術の成り立ちや歴史、ものづくりや製品開発の背景、技術者や職人の智惠や工夫などを実態に即して詳しく解説展示して姿がみられる。日本経済の根幹をなす製造業の流れをみると、一つは、江戸時代以来の伝統技術・技能を基盤として発展したもの、もう一つは、明治以降の西洋科学技術を吸収するなかで発展してきたものが見いだせる。しかし、両者とも日本独自の“ものづくりの”伝統を生かしつつ、時代に合わせた工夫と応用を繰り返す中で形成されてきているものだ。前者は、陶磁器や織物、発酵食品、金属加工などをあげることが出来るし、後者では機械、電気機器、造船、化学製品などがある。そして、各々には発展の基礎となる前史があり、産業史跡として現在も残っていることをあげねばならない。

 ここでは、上記を意識しつつ各地の「ものづくりの産業博物館」を分野別に取り上げ、内容を紹介してみたものである。この案内を参照しつつ各種博物館、資料館、産業遺産群を訪問されることを希望する。

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